12月11日(月) 明莉


 部屋に帰ってくると明莉はまずさいしょにカレンダーからクッキーを摘まんで食べる。もう意地みたいになってつづけてる。クリスマスなんかぜんぜん待ち遠しくないのに。


 おととい会ってわかったのは和人かずとはやっぱり変わりはしないんだってこと。

 お店の支払いもいつものとおり明莉あかりが済ませたし。べつにそれでいいんだって思うしお金のことも気にしない。いつも脳内ハッピーな和人のとなりにいるのがハッピーだった。

 でもいまはハッピーと言える自信がない。ハッピーだと自分に強弁するたびそれってウソじゃんって心のどこかからこだまが返ってくる。たぶん胸の奥の奥にある自分でも制御できないところから。


 そしたら明莉は開きなおって叫ぶのだ。そりゃハッピーじゃないかもしれないよ、でもだとしたらなに? ハッピーじゃなきゃまちがいだってゆうの? わたしは和人がすきだった。それがかんちがいの幻かなんかだったんだとしても。


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