喫煙室でしか会わない美しい君…。もっと知りたいと思った二人の行方とは…?
ALC
第1話ヤニトーク1 料理について
ニコチン中毒と言うと聞こえが悪いだろう。
ただタバコが好きで吸っているだけだと言うのに白い目で見られるのは少し我慢ならないことだ。
まぁそんなことに腹も立たないし反論をして波風を立てる必要もない。
何故なら僕には喫煙所で会える美女のヤニ仲間がいるからなのである。
本日も休憩時間に喫煙室まで足を運ぶこととなる。
そしていつもの美女との会話は始まっていくのであった。
「お疲れ様です。今日も同じタイミングになりましたね」
「お疲れ様です。ここでタバコ吸うの私達だけですからね…」
喫煙室の中にいつものヤニ仲間である川村はじめを目にした僕は満面の笑みを浮かべて入室していく。
紙タバコを咥えてライターで火をつけるとそのまま一服の時間は始まった。
「はじめさんは…同僚と昼食にいかないんですか?」
何となしに特別に意味のない質問をして彼女の表情を確認した。
「ん?行かないよ。外食って結構な出費になるでしょ?誰もが同じ金銭感覚じゃないから。無理して同僚と昼食に行く意味を感じないかな」
「へぇ〜。じゃあいつもお昼はどうしているんです?」
「ん?デスクで自炊のお弁当を食べているよ」
「料理上手なんですか?」
「まさか…
「そんなわけ無いじゃないですか。僕だって喫煙者ですよ?自分の舌まで疑うような事を言うと思いますか?」
「じゃあどういう意味の質問だったの?」
「いや、ただの世間話ですよ。休日は何しているんですか?みたいな何でもない質問です」
「そう。なら良いけど。結構料理は得意だよ。母親が料理下手だったんだ。それに気付いたのは飲食店でバイトを始めたときなんだよね」
「ん?何で気付いたんですか?外食とか行ったこと無いですか?お母様の料理以外食べてこなかったって話ですか?」
「いや、外食はしたことあるんだけどね。あれは…何ていうか…プロが作っているって思っていたから。お母さんの料理より美味しいのは当然だって思ってたんだ」
「なるほど。じゃあどうしてお母様の料理の腕前が微妙だって気付いたんですか?」
「簡単な話なんだけど。まかないを作ってくれるパートのおばさんが何人かいたんだけど。その人達の料理が信じられないほど美味しくて…頼み込んで料理を教えてもらうようになったんだ。少しずつ出来るようになると実家で料理担当は私になったの。それぐらいお母さんの料理が美味しくなくて…私が実家の料理担当になったら…家族皆に感謝される始末だったよ…」
「それは…何とも言えない話ですね…。お母様が不憫でしょうがない」
「いやいや。それで話が終わってたら悲しい話だけどね。お母さんも薄々気付いていたんだって。自分の料理の腕前に。だから私に料理を教えてって素直に言ってきて。凄いお母さんだってその時、改めて感じたんだ。普通、子供に真っ直ぐに教えてって言い難いでしょ?親としての立場というかプライドが邪魔してさ。そんなもの無視してお母さんは私に教えてって言ってきて。素直に尊敬した」
「凄いお母様なんですね。それでお母様も料理上手になったと?」
「まぁ。昔よりは確実にマシになったと思うな。もうお母さんの料理に家族も不満を漏らさないようだし」
「そうなんですね。そんな話していたら僕もお腹空いてきたんで…ここで失礼します」
「うん。今日は外食?」
「はい。同僚に待ってもらっているので。では」
「またね」
そうして僕こと
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