みっともなくても

 猫は自分が死ぬとこを、

 見せないというけど、

 私は自分の最後を、

 みんなに見せたいんだよ。


 道路に叩きつけられて、

 血がアスファルトににじんで、

 脳漿が飛び散って、

 屋上に靴と遺書があって、

 それをみんなに見せたいんだ。


 それが私の存在表明。

 こんな私でも、

 ちゃんと生きていたことの、

 存在表明。


 私のこの姿を瞳に焼き付けて欲しいよ。

 アスファルトが血を吸っていくとこを。

 脳漿が飛び散った姿を。

 お願いだよ。


 でもそんなこと出来ずに、

 泥汁をすすりながら、

 これからも生きていくんだ、

 みっともなくても。

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