能力都市盟元 決闘奇譚 

人藤 左

後日譚

断続・能力都市俯瞰風景/0


 ある閉鎖とざされた街の、破壊され尽くされた大塔最上階に一人、佇む影があった。

 ロッカーのようなスーパコンピューターの残骸に侮辱するように腰掛けて、彼は薄い唇で笑う。

「ふくくっ。見下ろしてみれば、なんてことはない」

 ……崩れ落ちた壁から、能力者たちがひしめく街を見下ろす。

 なんと伽藍堂なのだろう。

 この街には、自分が求めるものがない。

 俯瞰した風景は、なんと空無なことか。己が胸に残された大義、それを果たすために欠かせないピース。ここで、こんなところで、本当に見つかるというのか。

 だが、この見下ろした街は見捨てられない。友と呼べる少年がいて、彼が愛する少女が笑っていて、かつて笑いあった不老不死が死んだ街だ。軒先縁日わたしが気にかけている街だ。

 俯瞰した風景は、そんな合縁奇縁が重なった箱庭だった。

 冗談のように赤いハットを被り直し、冗談のような燕尾服を翻して、冗談まじりの笑みを浮かべて、アクトディーラーはその場をあとにする。

 ある不老不死の死。特殊探偵が手にした超技術。二つの線は"願いを叶える少女"を狙う男が手繰り、一人の少年が駆けた。そんな、

「――そんな、なんてことない、泡沫のようなボーイ・ミーツ・ガールだ」

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