彼女の尻に敷かれたい。

猫野 尻尾

第1話:告白。

僕の名前は「中野 芳樹なかの よしき」高校一年生。

性格はどっちかって言うと、おとなしめ。

決して軟弱とかそういうんじゃないけいけど、とにかく揉め事や喧嘩は大嫌い。

雷も大嫌い。


そして僕のクラスに、とても気になる女子がひとりいる。


彼女の名前は「京町 美都きょうまち みと」同級生で同い歳。


性格はまじ男・・・男前女子、今時だとイケメン女子。

だけどビジュアルはクラスの女子の中でもダントツでトップクラス。

髪は少し長めのショートボブってやつ?


とにかく、かっこいいんだけど、たまに見せるギャップがたまらない。

いつもビシッとしてるのに、笑うとかわいい。

クールなのに女性らしい時もあって僕ををドキッとさせる。


性格が男だから・・・男子と口論になっても決して負けてない。

しかも部活は剣道部ときてるからひとたび棒っきれ持ったらめちゃ強い。

もし嫁さんにしたらホウキは持たさないほうがいいかも。


女子たちからは羨望の眼差し、慕われたりしてるから姉御肌なんだろう。


自分の気持ちを京町さんに告白したいけど・・・けど僕のこの消極的な

性格がいまのところネックになってる。


でも僕は美都さんみたいなイケメン女子がたまらなく好きなんだ。


入学した頃はいいな〜って憧れみたいに彼女を見ていた。

それが毎日、彼女を見てるうちにどんどん自分の気持ちが彼女だけに傾いていった。


よく考えたら、彼女とまともに話したこともないんだ。

朝、顔を合わせたら「おはよう」と下校時の「さよなら」の挨拶、その程度。

でもいつでも彼女は笑顔で挨拶してくれた。

僕に気があるんじゃないかって勘違いするくらい・・・それは僕の思い込みだよね。

でも、それだけでも僕は嬉しかった。


このまま気持ちを告白することもなく高校を卒業して彼女とも二度と会えなく

なるのかなって思ったらじっとしていられなくなった。


美都ちゃんに僕の気持ちを伝えるしかない。


で放課後、彼女が帰り支度をしていた時、勇気を出して言葉をかけた。

もうアドレナリンとドーパミンがクチから溢れ出るんじゃないかって

くらい緊張していた。


「あの・・・あの・・・京町さん・・・少しいいかな?」


「ん?・・・なに?中野くん?」


「話があるんだけど・・・ここじゃちょっと話せないことだから・・・」

「お、屋上に来てほしいんだけど・・・いいかな?」


美都さんは、しばらく僕の顔を見ていた。


「いいけど・・・」

「って言うか・・・間違ってたらごめんだけど・・・もしかして、中野くん

・・・私に告るつもり?」


「えっ?・・・そんなこと・・・みんな聞いてるし」


「いいじゃん、聞かれたって・・・悪いことしてるわけないんだから」


教室に残っていた数人の生徒が、僕たちに気をきかせてそそくさと教室から

出て行った。


「あ、うん・・・告白しようと思ってたけど・・・」


「思ってたけど?・・・なに?そんなに自信ないの?」

「ここで告っても屋上で告っても、答えは同じだよ」

「わざわざ屋上まで行かなくても、ここのほうが手取り早いでしょ」


「で?告るんでしょ?」


「いや〜先に見透かされちゃったら、言いにくいよ」


「そ、じゃ〜私が答えてあげる」


つづく。


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