学園生活の始まり
王宮住まいとなってから2年、遂に水晶学園の入学式の日がやって来た。
やっと王宮から解放されてリルティアの舞台に突入ね。
ほんと長かったわ。
始まりは大好きな乙女ゲーム『リルティア王国物語』転生したんだけど、悪役令嬢『アイビス・コールディア』になってしまったこと。
この『アイビス』って悪役令嬢は主人公の下級貴族『マリエル・オービタル』に嫌がらせをしまくった挙句に攻略対象の不評を買い、断罪の後に断頭台行きなんかの悲惨な結末を迎えるキャラだったのよ。
せっかく大好きなリルティアの世界に転生したのにゲームの途中で断罪されて退場するのだけは嫌!
わたしは断罪イベントを避けるべく、マリエルへの嫌がらせをしないと心に誓うと共に攻略キャラとの出会いフラグを立てないと心に決め、断罪フラグの発生条件となりそうな主人公マリエルと攻略キャラの出会いフラグも阻止すべく計画を開始。
わたしが入学試験の成績トップで主席入学してマリエルの主席入学と言うステータスを奪い取ればマリエルと攻略キャラの出会いフラグは立たないだろうという予測の元、ルードリッヒお父様に勉強するから家庭教師を付けて欲しいと頼んだのよ。
そうしたら家庭教師として現れたのは攻略キャラの一人のウィリアム第一王子だったからビックリだったわ。
あれだけ避けようと思っていた攻略キャラとの出会いなのに、いきなりウィリアム王子との出会いフラグを立ててしまって後悔しまくり。
頭ごなしに勉強が出来ないと馬鹿にしてくるウィリアム王子と喧嘩したのも良くなかったわね。
その後、攻略キャラの一人であるコールディア領内の有力商人の息子のビリーくんに頼んで勉強の仕方を教えて貰って、模擬試験でトップの点数を取ってウィリアム王子を見返して『ざまぁ』してやったらなぜか惚れられてしまって、わたしがウィリアム王子ルートに突入の危機って言うか現在進行形。
悪役キャラのはずの
わたしは王子とマリエルの出会いフラグをへし折りたかっただけなのに……。
乙女ゲームの『リルティア王国物語』ではマリエルを一目見たウィリアム王子がひとめ惚れをしていたから、それを期待するしかないわね。
入学試験の成績なんだけど、わたしが主席入学でウィリアム王子が次席。
そしてアイはその次の3位だったからわたしと同じ上流貴族クラスに入れたんだけど、王国騎士団やチャールズ王子から推薦状を貰ってたものだからわたしよりも注目されてたわ。
入試の合格が決まると、今度は寮の部屋決め。
女子寮に入るものだとばかりわたしは驚いた。
「ど、ど、ど、どうなってるのよ……」
「アイビス様、こんな豪華な部屋は見たことありません!」
ゲームで散々見慣れた女子寮じゃなく、ゲームの『リルティア王国物語』の中でも見たことのないとんでもなく豪華な建物。
わたしもアイもあまりに豪華な部屋に腰が抜けそうだ。
たしかゲームの中のウィリアム王子は男子寮住まいだと思ったんだけどわたしたちとこの豪華な寮に入るらしい。
学園に通うために、こんな物まで建てちゃったの?
ゲームの世界と結構変わってるんだけどいいのかな?
ウィリアム王子が得意気に語り掛けてくる。
「どうだい? 愛するアイビスの為に建てた俺たち専用の寮だ」
この豪華な寮にウィリアム王子とチャールズ王子、アイとわたしが住むらしい。
こんな無駄なものを寮生活の為だけに作ってたら、税金の無駄遣いし過ぎで民衆の反感をかって革命が起きて吊るし上げられるわよ。
と思ったけど、改築した迎賓館をわたしたちの在学中に専用の寮として使うだけらしい。
女子寮に住まないでこんな豪華な寮に住むとなると、女子寮で起こるはずのイベントがどうなるのか少し気になる。
まあ、ここに住めるのもマリエルが新しい部屋の主になるまでの短い期間のはず。
あまり深く考え込まないで、この豪華な部屋を追い出されるまで満喫しましょう。
わたしは豪華な寮生活を満喫することとしたわ。
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