16日目

シイナとの共同生活の1日目、今日はシイナとの会話に成功しました。

あなたの名前はシイナ、とそう告げると舌足らずな声で名前を復唱し、そのあとわたしの名前を尋ねてきたので、リアと名乗ると花開くような笑顔になりました。

シイナは全体的に嬉しそうにしているように見えました。とりあえず発声機能と会話能力には問題なさそうです。学習能力も問題無さそうですし、少しぎこちないですがちゃんと動けてもいます。


ですが、過干渉のあまりわたしに好意を持たれてしまっても困りものです。もし情が湧いて殺せなくなってしまったら、また実験の日々へ逆戻りですから。


程々に接することを心がけなくては。シイナはあくまでわたしを殺すための道具なのですから、過度な干渉も愛情は必要ないはずです。


それか、シイナがわたしに好意的な感情を抱きすぎないように、関係性をはっきりさせるのも手かも知れません。ならば、わたしは言わば教師と生徒のような存在になるのでしょうか?

それとも、友達や家族…は有り得ませんね。友達や家族が殺し合う話なんて普通では無いですから。


でも少し、ほんの少しだけ。家族なんてのも悪くないかもしれない、なんて思ってしまったのはきっと一時の気の迷い。だってわたしの望みは他でもない、死ぬことなのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る