キューターリーフ 対 帝王
私の体に、電気が走った。
また、キューターリーフが私を助けてくれた。私を、守ってくれた……。
「下がって、メイ!」
キューターリーフのするどい声に私はハッとする。
帝王が、キューターリーフに襲いかかる。
「はぁあああああっ!」
剣と剣とが力の限りぶつかる音、音、音!
息をつくいとまもない、最速の戦いがくりひろげられている。
「すごい。互角!」
「イヤ、互角以上だナ。優っているのは……キューターリーフだゼ!」
答えたのは、リドリィ。足にリモコンを持って、飛んできてくれた。
リドリィの言うとおり、キューターリーフが帝王を押している。
帝王の方が、力は上。しかし、キューターリーフは速さで帝王を追いつめている。
「帝王! 答えろ、なぜリーフェスタ王国に攻撃をくりかえす!」
「…………」
剣をぶつけながら、キューターリーフが帝王に問いかける。
「町は暗く、人々はしずんだ顔をしていた! 帝王、あなたは本当に国を見ているのかっ?」
帝王は答えない。
「両親をおまえに奪われた少女は、果物ひとつに涙を流した! 未来ある子どもをないがしろにする王など、ボクは認めない!」
帝王は答えない。
「自国の民を苦しめて、王国の民を連れさって! そこまでしてあなたが欲するものはなんだと、聞いているんだっ!」
あの温和なキューターリーフが、どなっている。いま、キューターリーフは怒りをパワーに変えて、剣をにぎっている。
それでも、帝王は答えない。
「……答えろ! 帝王!」
さけんで、キューターリーフが剣をふりおろす。
パキッ!
キューターリーフの攻撃が、帝王の仮面をかすめた。
仮面を割ることはできなかったが、目元にヒビが入る。
これで、帝王の正体に近づいた!
仮面のすきまから見えた帝王の素顔に、キューターリーフが目を見ひらく。
「あなた、は……!」
「教えてやろう」
帝王の、低い声。キューターリーフは動けない。
「オレの目的は、おまえをたおすこと。それだけだ」
剣のにぶい光が、きらめく。
一瞬で、決着がついた。
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