夜明け前には白百合と
C2N2
第1話 夜間通話(前)
それは、小中以来の友人である彼——
『そういえば、
「?」
彼の声が先ほどまでの明るいものとは打って変わって、少し暗いような、様子を窺うようなものになった。その様子に思わず俺も息を呑み、右手のペン回しを止める。じわりと、首筋に冷や汗が伝うのが感じられた。
『巽ってさ、たしか水銀さんのこと好きだったよね?』
「ああ、そうだな」
水銀さん――
「それで、どうしたんだよ。」
『あのー、えーっとー、』
煮え切らない態度に少しばかり腹が立つ。その雰囲気が彼に伝わったのか、諦念を孕んだようなため息を付くと、彼は続きを話した。
『水銀さんに彼氏ができたらしいんだ』
ボトン。右手に持ってたペンが滑り落ち、乾いた音を響かせた。彼のあまりに衝撃的なその告白に脳裏が白く染まったまま、俺は一言も発することができなくなってしまった。
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