フラストレーション

トクメイ太郎

主人公1年生編 もな告白編

第1話プロローグ

・過去

 その子との初めての出会いは、俺が小学校1年生の時だった。


 放課後いつものように学校のグラウンドでサッカーをして友達と遊んでいた。

「あっ!」

 友達が蹴ったボールがグラウンドの隅っこに飛んでいった。

 すると、1人の年の離れた女の子がボールを拾ってくれた。


「はいボール転がって来たよ」

 

「あ、ありがとう」

 そう言って友達の元へ帰ってまた遊んだ。


 放課後帰る途中また女の子をまた見た。

 喋ったりはしなかったが、同じ方向で何となく気まずかった。


 自宅のマンションについてから気づいたが、住んでいるのはどうやら同じマンションらしい。

 その子は5階で俺は4階だ。

 ちょっとだけ年上だけど可愛いし、また会えたらラッキーだな。


 街でたまたま両親が、女性の幼馴染にあったらしい。


 俺が両親から話を聞いた。その人は同じマンションの5階に引っ越して来たらしく、結婚もして子供もいるらしい。

 両親が言うには、俺達家族の住んでる部屋で集まって食事会をすることになった。


 そして当日。


 両親の幼馴染がやって来た。まだ友達も少なくその人の子供もやって来た。

 最初は緊張しているみたいで、親の後ろに隠れていた。


 その子の顔がちらっと見える。

「あの時のボールの子だ」

「母親が知ってるの?」

 母親が疑問をもって聞いてきた。

 それが俺と、もなの2度目の出会いだった。

 最初はお互い緊張していたが、それを機に毎日一緒に学校に行くようになり、少しずつ喋るようになった。俺には同じ日に生まれた双子の妹が1人いる。そいつのおかげで馴染めたのもある。

 

・現在

 それから何年か経ち俺たち3人は同じ高校に通っていた。


 もな。本名は白石もな。高校3年生で2つ上の俺の幼馴染だ。

 とにかく優しい。黒く長い髪が似合っていて、学校でも、人気らしい。まあ幼馴染の俺から見ても清楚で優しいし言うとこなしだ。


 双子の妹とえらい違いだ。名前は相原りの。少しがさつだがスポーツをしているいわゆる体育会系女子だ。スポーツをしているからという理由で短髪にしている。活発で隠れて意外と人気があるらしい。


 かという俺は、りのと同じ日に生まれたと言うのに目つきが悪い。そのたびに学校で怒られる。学校の成績もそこそこであまりいいところがない。

 名前を言うのを忘れていた。俺の名前は相原さとる。高校1年生だ。


 こんなダメダメな俺にも、平等に接してくれるのがこの2人だ。


 まあ幼馴染と妹だから当たり前だが。


 今日もなは、学校の用事で俺達兄妹より早く登校していた。


 なんやら風紀委員の仕事で朝校門の前で挨拶させられるらしい。


 令和の今の時代になんてブラックな学校だ。


 そんな事言っても仕方ない。もながやると言ったんだ。


 まあどうせ優しいから私がやります。と言ったんだろうと思いながら俺は、りのと登校していた。


 校門に着くと、もなが挨拶をしていた。


 仕事の邪魔はしないでおこう。と思いもなを無視して学校に入るともながこっちに寄って来た。


「ブレザーのネクタイずれてるよ」

 

「あ、ありがとう」

 そうして俺のネクタイを締めなおしてくれた。

 照れながら俺は、もなに言った。


 羨ましそうに見ている周りの男子をみて、少しながら優越感を覚えた。


 正直言うと、もなが好きなのだ。


 だが高校生までそれを言えずにいて、俺はタイミングを完全に逃してしまった。


 そんなことを思いながら俺は、もなと別れてりのと教室に向かった。


 俺は自分の席に着いた。


「おはよう。相原」

「おう」

 こいつは俺の中学からの友達の高橋ゆういち。

 宿題の答案を貸してくれたりするいい奴なんだが、たまに俺のスマホにエロい動画や画像を送って来たりいたずらをする。


 まあ高校生だからそういうのを見ても不思議じゃないが。


 この前も送ってきて、もなに見られそうになった。


 さすがに隠したが、その時は注意のメッセージを送った。


1回だけりのに見られたことがある。


 その時は。


「こんなのが好きなんだ」

 最初見られてびっくりした。

「いや違う。これは高橋のやつが勝手に送って来てだな」

「はい、はいわかった。わかった。もなちゃんには内緒にしとくから。」

 そういって遊びに行ってしまった事があった。

 りの自身あの時の事はほんとに黙ってくれているみたいだ。

 高橋とはそんな感じのやつだ。


 もう1人いる。りのの友達の山口ひなのだ。


 こいつはりのの部活仲間だ。


 ちょうど今日は、りのと教室でしゃべっていた。


 何をしゃべっているかはわからないがどうせつまらないことだろう。


 そんなことを説明している間に、授業が始まった。


 放課後

 りのは部活に行き、帰宅部の俺はもなと久々に一緒に帰っていた。


「最近調子どう?」

 なんだその会話素人みたいな質問は。普段はりのがいるから会話が弾むが、2人だとなぜか会話が難しくなる。

「学校も過ごしやすいし、みんな優しくしてくれるし、担任の先生とも良好な関係気づけてると思うし、大丈夫だよ。」

 もなは返事をした。

「そうか。なら安心した。」

 こんな性格だからついつい周りに流されて気を使ってるんじゃないかと心配していたが、聞いてる感じだと大丈夫そうで安心した。


「受験勉強どう?」さとるがそう聞くと、少し笑いながらもなは言ってきた。

「それさとるが言っちゃうの?1番勉強苦手でいつもテスト期間中とか教えてあげてるの私なのに」

「まあそうなんだけどさ。気になって。俺もあと2年で受験だし」

「2年って結構ながいよ」

 少しうけたのか答えながら笑ってくれた。

 実家のマンションに着いて2人でエレベーターに乗った。


 4階についてさとるがエレベーターを出る時、もながお礼を言ってきた。

「気にしてくれてありがとう」


 その笑顔にさとるは元気をもらった。


 やっぱり好きだと思った。

 

 だが、告白はできない。なぜなら告白のタイミングを失ったからだ。


 元々、もなが中学を卒業したら告白しようと思っていた。


 だが、男子が周りに多くて告白できなかった。


 中1のさとるにはいざ告白しようと思っても勇気がわいてこなかった。


 でも、ほかに好きな人がいるのか普段は流されやすいもなも、この時ばかりは告白する男子全員を振っていた。


 バトミントン部の部長かなんかが告白していたが、それも振っていたのを覚えている。

 さとるはそれを見てなんで振るんだろうと思っていたが、今思えば多分好きな人がいたんだろう。または、現在進行形でいるんだろうと思った。


 今もいるかは知らないが。だが、それをみて当時のさとるは告白できなかった。


 淡い思い出である。


 でも最近また気になり始めた。もなが好きな人が俺だったらとか妄想していた。ただ、勇気がなかった。もなが好きな人が自分じゃなかったらどうしよう。幼馴染という大事な存在がいなくなってしまうかも。気づけばそんなことばかり思って毎日を過ごしていたさとるだった。

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