第2話 顔合わせなのです!
トパーズさんと待つこと。数十分。
その間に軽いごはんは作った。
まぁ、パスタとか、スープ、サラダぐらいだけど…
あとは出前を取るらしい。
といっても元は出前を取るつもりだったらしく、食材は一切置いてなかったから、悪いけどトパーズさんが買いに行ってくれた。
ホントにありがと。
でもありがとうと言ったら気絶したのは正直うわぁと思った。
「さてと、そろそろ来るのですか?」
「ええ、そろそろですね。っと。噂をすればなんとやらですね」
インターフォンが鳴った。
それも3回、2回のリズムで、
「私が行くのです」
「お願いします」
てってってーと小走りで玄関へと向かう。
ジャンプしてモニターを見ると、女性が二人いた。
おそらくこの二人がルビーさんとエメラルドさんだろう。
一応玄関の置いてある拳銃を手に持ってドアを開ける。
「おお〜ホントにロリっ子だぁ〜!」
「おお、ロリじゃん!」
「はいロリなのです。ところでお二人が…」
「あれ?言われてなかったけ?まぁ、上がっていい?」
「オーケーなのです」
ということで二人を上げ私は軽くドアの外をぐるりと見回してからドアを閉じ、拳銃も元あったところへと戻す。
そんなことをしている間にも二人はそれぞれの部屋へ向かったようである。
少しすると二人共、部屋着に着替えたっぽく、ゆったりとした服装になっていた。
するとトパーズさんが話を切り出した。
「はい。皆さん揃いましたので簡単に紹介しますね。
まず、こちらの白髪さんはルビーさんです」
「実地担当のルビーだよ。髪は地毛だよ〜。ストレスじゃないよ!」
「よろしくおねがいなのです」
「こちらこそね〜」
「次にこちらのブロンドさんはエメラルドさんです」
「技術担当のエメラルドですよぉ〜。頭はしっかり詰まってるから安心してねぇ〜。あとエメちゃんとでも呼んでねぇ~」
「よろしくおねがいなのです」
「おお〜ロリっ子のよろしくはいいですねぇ〜」
なんかこの人やばい感じがするのです。
「さて、最後にこのロリはダイヤちゃんです」
「ルビーさんと同じく実地担当のダイヤなのです。足は引っ張らないのです!」
「ねぇねぇ!ルビーお姉ちゃんって呼んで!」
「ルビーお姉ちゃんよろしくなのです!」
「ウ”ッ」
ルビーお姉ちゃん、いいやつだったね。
夜ごはんまでは忘れないはず……
「ではぁ〜私もお姉ちゃん呼びお願いしますぅ〜」
「エメお姉ちゃんよろしくなのです!」
「おおぉ〜これが萌兵器というやつですかぁ〜…そこらへんの核より威力ありそうですねぇ〜」
なんか評価おかしくない???
ま、ままええわ。
とりあえずごはんが冷める前に食べよう。
「では、顔合わせも済んだところでごはんと行きましょう。
ダイヤちゃんの手作りごはんもありますしね」
「おお、ロリの手作り…いろんな意味でおかずになりそう」
「では早速頂きますねぇ〜」
みんなでスリッパをぺたぺた鳴らして椅子に座る。
私達ヨーロッパ人にとっては室内も基本靴で過ごすのだが、東方では脱ぐらしい。
この家もそれにならって室内では靴を脱いでスリッパを履いている。
まずお手製のトマトソーススパゲティを一口すする。
うん、トマトとパスタがよく絡み合って美味しい。
麺も太すぎず、細すぎずでちょうど良い感じである。
周りを見てみてもなかなか好評である。
でもタッパーを取り出して保存しようとするのは止めて欲しい。
そんな感じで和気あいあいと食事をしていると玄関のドアがガチャリと開いた。
そしてすぐに一人の女性がリビングに飛び込んできた。
「待たせたな」
ジュエルセクションのオフィサーのサファイアさんである。
「待ってないです」
「待ってない」
「待ってないですよぉ〜取り分も減りますしぃ〜」
まぁ、みんな待ってないようだが…
「は~あ…私ここのオフィサーなんだがなぁ…ままええわ。うちの癒やし担当に膝枕でも……」
と言いながら私の膝目掛けてやって来るサファイアさん。
うん、ヤバい人だ。
「あの…ごはん食べるのです。冷めちゃうのです」
「そうだぞ、早く席に着け」
「私はサファイアさんの分を持ってくるのです」
「よろしくたのむ」
なんでこの人たちすぐ席立つのかな〜?
◇◆◇◆◇
そんな賑やかな夕食も終わり、皆が眠りに着く夜0時。
少々諜報員にとっては早い休みだが、みんな明日から本格的に訓練が始まるため早めにベッドに潜り込んでいる。
だが、一人だけ、ダイニングテーブルの椅子に腰掛け、寝る様子の無いものがいた。
ダイヤことノアである。
彼女の顔はどこか不安と悩みに押しつぶされたようである。
そんな彼女の隣に誰かが腰掛けた。
「ダイヤ、明日は早い。もう寝たほうがいいぞ」
サファイアである。
「サファイアさん……」
「ふむ、まだ眠気は来ないか…では、私と少し話でもするか…」
ノアからの返事は返ってこない。
「そうか、なら話を聞くだけ聞いてくれないか…少し愚痴りたいことがあるのでね…別に無理に返せとは言わないさ」
そう言うと彼女はぽつぽつと話しだした。
「私は
まぁ、昔は陸軍諜報部にいたはいたが、それも少しだけだ。
小隊や中隊、旅団の指揮は経験があるがこんな諜報部隊の指揮は初めてだ。
特殊作戦には緻密な作戦と高頻度の通信、工作員と指揮官の連携は必須だが、どちらかというと私は闇の中ではなく、太陽のもとでの作戦の方を専門にしてたためまだまだ素人さ。
その証拠に未だに教本が手放せないさ。
正直私は
まだ磨き終わってない原石さ。
ぶっちゃけ君とルビーだけさ、特殊部隊から来たのは。
トパーズは私の昔からの部下だ。同じ旅団にいた。
エメは私が引き抜いた。彼女はノーバ・ファイアアームズ―イギリスの銃メーカー―出身さ。
だからな、ぶっちゃけ私は君たち特殊部隊には期待している。
でも、期待し過ぎはいけない。
その塩梅は昔から見極めてきた。
こう見えても元旅団のトップをしてたんだ。
まぁ、特殊部隊と諜報部隊は違うからな、こう見ればこのセクションみんな若葉さ。
でもな、
それまではただの石ころさ。
難しく考えなくていいさ。
私も君もあの娘達もヤスリで磨こうじゃないか。
特に君はダイヤだ。
磨けば何倍、何十倍輝けるさ。
でもな、誰も磨き方は知らない。
私もルビーもトパーズもエメも磨き方は違う。
だから削りすぎたり、削り足りないときもある。
でも着実に削れていく。
それでいいじゃないか。
まだ訓練だ。
ここでミスをしてもいい。
何やらかしてもいい。
なんせ私がいるからな。
私の仕事は君たちのサポートもそうだが、責任を取ることさ。
それが私なりの磨き方さ。あの海より蒼いジュエルを作るための。
だからな、責任は私がすべて取る、そのかわりダイヤはダイヤになって欲しい。
あの何十カラットものブリリアントカットのものに」
というサファイアはどこか輝いた眼をしていた。
まるでショーウインドウに飾られるダイヤを見るように。
「サファイアさんは私がやれると思いますか?」
いつもの語尾が取れた話し方をするノア。
「ああ。やれんと思ったらまず呼びはしないさ」
「そうですか…では、私の身長を見てなにか思うことは…?」
「なにも思わないさ。美味しそうに見えるだけ」
「私は海軍にいた頃からマスコットでした。
特殊部隊員だけど、過保護に守られてきました。
そりゃ人並み以上に努力はしたつもりです。
この身長すら武器なるレベルの。
でも、結局みんな私をマスコット以上には見てくれなかった。
背中を預けることはなかった」
「ならこれからは嫌でも背中を空けてもらうさ。私の分も入るぐらいには。
その代わり私も空けよう。4人がすっぽり入るだけの背中は」
「サファイアさん……私の背中は小さいですよ…」
「ロリの感触が味わえるからいいさ」
「では、頑張ってみようかな……ちっこい背中空けられるように」
「そうか…ありがとう…」
「こちらこそなのです……」
とだけ言うと二人は誰に言うでもなく立ち上がり、寝支度を済ませベッドへと潜り込んだ。
――――――――――――――――――――――
よんごーです。
2話目にしてシリアス。
ほのぼのお仕事コメディを期待していた皆様には申し訳ない……次はコメディチックなものを書きます。
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