29話 新しい仲間達

「この度はお誘いありがとうございます。長内妖女と申します、以後お見知りおきを」


温泉で寛いでいた俺たちは分かりやすいように1度家の前に出て妖女さんと落ち合った。


「悪いな、急な誘いで。こっちの身長が低い方がゆーり、高い方が先生だ」


「どうもー初めまして」


「初めまして!妖女さんなかなか可愛いキャラクリしたじゃない、やるわねぇ。スクショ撮ってもいい?」


「え、えぇどうぞ」


こいつは・・・・・・初っ端からこれか。ま、想像通りだったけどな。


「こういう奴なんだよ。ま、良ければ仲良くしてやってくれ。ここじゃなんだしとりあえず家入ろうか」


「本当にコーラさんといると飽きる事がありませんね。このようなギルドハウスを早い段階で購入している事にも驚きましたが、まさかより驚くことがあるとは」


トプスさんから譲り受けたばかりで目的の居間がどこか分からない事に小さく笑いながらギルドハウス設定から間取り図を開く。いくら広いとはいえ自宅で迷ったとは言えずなんでもない風を装い居間へと案内する。


「なんもないがくつろいでくれ」


「えぇ、ありがとうございます」


「それにしても本当にコーラが妖女さんと知り合いなんて・・・・・・話には聞いてたけど驚きだよ」


「私も驚いていますよ、まさかイベント4位の先生さんに有名配信者であるゆーりさんがコーラさんのご友人とは・・・・・・お会いできて光栄です」


「いやぁ、それほどでもないわよ」


「そうそう、妖女さんだって有名だし。あと、もっとフランクに話していいよ、僕達仲間になるんだから」


「そうですね、努力します」


うんうん、ファーストインプレッションは成功みたいだな。ふむ、見事に女性アバターに囲まれている。周りの人から見たら羨ましいだろう。まぁ、そのうち過半数が男だけど。妖女さんやゆーり見たいにTSする人も居なくはないみたいだがこの世界に戦いを求めてきている人は僅かなずれなどが戦闘において如実に出てきて後悔するという情報が広く出てからはTSをめっきりしなくなった。そんな風潮があるため、女性アバターを使っている人は女性の確率が高い。さらに、歩き方や喋り方で何となくこいつ男だなと分かるものだが、ゆーりはボーイッシュな女の子と言われても納得出来るくらいに女の子の為さらに羨ましがられるだろう。


「妖女さんはタンクだよね?その見た目と攻略の最前線にいるから目立ってはいるけど、ソロメインだからか詳しい情報は知らないんだよね」


「はい、そうです。と言っても詳しくは「まった」なんでしょう?」


妖女さんの言葉を遮る先生。どうしたんだろうか?


「今度3人でPvPする話してたじゃない?せっかくだから妖女さんも入れてやりたいしせっかくなら何も知らない状態で戦いたくない?」


なるほど、確かに。仲間だからこそ情報の共有は大切だが妖女さんもこの2人のプレイスタイルは知らない。なら互いについてある程度知っている俺らとのPvPとはまた違った、ガチの戦いができるだろう。それに・・・・・・


「いいじゃん、俺も妖女さんと一緒にフィールドに出たことはあるが詳しいことは知らないし、イベントでも戦えなかったからな、1度ガチでやり合ってみたい」


妖女さんはポットでポット野郎の先生とは違い正真正銘トッププレイヤー。やり合えるならやり合いたい。


「うん、僕もいいと思う。どうかな妖女さん?」


「はい、大丈夫ですよ?面白そうですね」


あーでもこの2人はトプスさんと知り合いだから王城の訓練場使えるが、妖女さんはどうなんだろうか。ダメだったら、情報が漏れるの覚悟で冒険者ギルドの訓練場でやるしかないか?ま、とりあえず明日トプスさんに聞いてみよう。妖女さんに内緒で。


ふふふ、王城に入れるとなったら妖女さん驚くに違いない。あ、メッセで秘密にするよう言っとこ。


おい先生ニヤニヤするな。バレるだろうが!


「ん?どうかなさいました?」


「い、いや、ななんでもないわよ?」


それで誤魔化せると思っているのか?全く普段学校じゃ完璧に終わってること隠してるくせに。


「多分だけど、ポイントで貰った暖かな卵が孵化できるようになったから気になってるんじゃないか?そんなソワソワするくらいなら妖女さんもいるし使って見るか」


「そうだね、うーん、何が生まれるんだろう?」


「何でもいいじゃない可愛くてもかっこよくても」


「先生もたまにはいいこと言うな」


「たまにはって何よ?」


「はいはい、卵出したね?それじゃあ321で「シュワァァァァァン」孵化させるよ?」


「「「「え?」」」」


ゆーりが合図を出そうとした時突如として部屋があかりに包まれるーー卵から出た光で。


「ちょっと何やってるの先生?!」


「だってゆーりくんがややこしいことするから!」


「確かにそれは否定出来ないが、それでもこんなテンプレすんなよ!想像できただろ?!」


「だってぇ!」


「くっふふ、ごほん。皆さん、落ち着いてくださいそろそろ生まれますよ」


新たに仲間となった(一応体験入部)の妖女さんが早速役に立ち重要なペットの孵化シーンを見逃すという失敗を回避する。


皆が注目すると同時に自分にスポットライトが当てられていることを感じ取ったのか卵がより強く胎動し目を開けて居られないほどの光が部屋に満ちる。真っ白だった視界に色が戻って来るとそこにはーーー


『ぽよ』


「スライム!いいじゃない!」


 正直犬とか猫が生まれるものだと思っていたがスライムなんかも生まれるんだな。これは俺も期待しちゃう。


「そう言えばスライムってこの世界で見たことなかったな」


「たまに街中でも見られるみたいですよ、多くは人目のつかないところでゴミを掃除しているみたいで気が付かないようですが」


「実は僕も初めて見るんだけど結構かわいいね」


「そうね、決めたわ!リン!それがあなたの名前よ」


『ぽよよ!』


「気に入ったみたい!うんうん、なるほど。どうやらこの子は掃除と簡単な魔法が使えるみたい、ほら」


ステータス

名前りん

種族スライム

レベル1


ステータス

ギルドペット(所有 先生)


スキル

掃除

ライト

マッチ

ホース

 

称号

ギルドペット


ふむふむなるほど、これってもしかしてさ……


「これ、先生に合うようになってない?掃除とか先生できないし、ライトは撮影用に」


「そうですね、スライムになったのも掃除が出来かつ、魔法が使えるからかもしれませんね」


「掃除できないに関しては反論したいけど、確かにそうね。まぁ、コーラとゆーりの卵で分かるんじゃないかしら?」


「それもそうだな、じゃあ1人ずつ見ていくかゆーり先どうぞ」


「そう?それじゃあ、行くよ?」


先程と同様に強い光が漏れ出す。そしてーーー

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