12話 「ふっ、お前は俺が守る。」(キリッ)

悠里と先生とゲームの話やアニメの話でひとしきり盛り上がり学校から帰った俺は夏休み記念で家族で外食に行き、風呂済ませたころにはいい時間になっていたが夏休みだしと理由をつけてアーコズの世界にログインし、既にログインしていたちぇりーさんの元へと向かった。


「来たわねえ、コーラちゃん。待ってたわよぉ。早速だけど……はい、これがあなたのために私が真心込めて作った防具よ」



 ちぇりーさんよりトレード申請が届きました



 さて、トレード申請を許可してっとどれどれ。


 独狼の黒衣 上

 DEF+25

 群れを作らず番を持つとき以外は一人で暮らす狼の皮で作られた黒い皮で出来た胴防具。森で隠れ潜み狩りを行う独狼の皮は美しい新緑をしているが黒色に染められている。それは奇しくも独狼の心を表す。これを使用する者もまた心に独狼の心と似通ったものを抱えているのかもしれない。もし、心に感じるものがあるのなら亡き独狼はあなたに心を開くのかもしれない。


 独狼の黒衣 下

 DEF+25

 群れを作らず番を持つとき以外は一人で暮らす狼の皮で作られた黒い皮で出来た脚防具。森で隠れ潜み狩りを行う独狼の皮は美しい新緑をしているが黒色に染められている。それは奇しくも独狼の心を表す。これを使用する者もまた心に独狼の心と似通ったものを抱えているのかもしれない。もし、心に感じるものがあるのなら亡き独狼はあなたに心を開くのかもしれない。


 独狼の手袋

 DEF+25

 群れを作らず番を持つとき以外は一人で暮らす狼の皮で作られた黒い皮で出来た小手。森で隠れ潜み狩りを行う独狼の皮は美しい新緑をしているが黒色に染められている。それは奇しくも独狼の心を表す。これを使用する者もまた心に独狼の心と似通ったものを抱えているのかもしれない。もし、心に感じるものがあるのなら亡き独狼はあなたに心を開くのかもしれない。


 影狼の外套

 DEF+40 MND+30

 固有スキル 影狼かげろう

 影を纏いし漆黒の外套。目立たぬよう最低限の狩り以外を行わない独狩森狼の中でも特に好戦的な個体が長くの時を生き延び狩のスキルを極めたときその者は音を消し夜の闇に紛れ天敵さえ刈り取る死神となる。



 影狼の影靴

 DEF+40 MND+30

 固有スキル 影纏歩かげまとい

 影を纏いし漆黒の外套。目立たぬよう最低限の狩り以外を行わない独狩森狼の中でも特に好戦的な個体が長くの時を生き延び狩のスキルを極めたときその者は音を消し夜の闇に紛れ天敵さえ刈り取る死神となる。


 これは.....強すぎでは?多分だけどこれ相当強めの部類に入るよな。まじか。


「ささ、驚いていないで早く装備してみてねん。細かい部分は大丈夫だと思うけど何かあったら直さないといけないから言ってちょうだい」


「そうだな、っとこれは.....おい、これどっかで見たことあるような見た目してるんだが?」


「うふふ、よく気が付いたわね、これは50年前に放送されたソードアンドオンデマンドってアニメに出てくる黒の双剣士をイメージして作ったのよん」


「いや、イメージというかそのまんまだろこれ」


「あらん?あなた結構詳しいのねぇ。でも、そのまんまじゃないのよぉ。細かい所を実際に使いやすいようにしたり補強したりしてるの。うふふ、なかなか似合ってるわよ」


「なるほど、で?スクショとるんだろ?どんなポーズがお望みだ?」


「ノリが良くて助かるわぁ、もしかしてそっちの趣味の人?」


「いや、身近にそっちの趣味の人がいてな」


 こういうのは先生で慣れてるからな……う、トラウマが。魔法少女……悠里……悪の幹部。


「それじゃあ、適当に良さそうなポーズお願いねぇん」


 おいおい、適当にって。それに、この黒い剣と白い剣もなんか見た事あるなあ。別にやりますけど。全く何故こうなったんだか。


 ……

 

 ふむ、こうか?こんなポーズもよさそうだ。 


 ……


  いや、正直に言おう。バカテンション上がってきたわ。俺もこの作品好きだし、完成度がここまで極まってるんだ、そりゃあテンションも上がるってもんよ。


「見せてやろう、俺が傘で鍛えたこの技をスターバルムンクフェザリオンストリーム!」


「いい、とてもいいわよォ!そうそうよ、もっと君のあふれんばかりの愛情を出すのよ!受け止めてあげるわぁ!」


「ふっ、お前は俺が守る。」(キリッ)


「いい、すごくいいわ、うふふ、こんなにノリノリでやってくれた子今まで初めてよぉ!」


「コーラさん、ちぇりーさんいったい何を?!」


「ッ!あ、よ、妖女さん来てたんですね、恥ずかしい所を見られたなこりゃ。ちょっと、ちぇりーさんの撮影に乗ってたらテンション上がっちゃって」


「あぁ、そういうことでしたか、てっきりちぇりーさんに手籠めにされたのかと」


「やぁね、心外よ。私がそんなことするわけないじゃない」


 何をおぞましいことを言っているんだ?このスク水幼女は?人それぞれの性癖だし俺は気にしないし、慣れてる。ただ、ちぇりーさんの撮影に付き合ってただけでやましいことをしていないのにもかかわらずそういう目で見てくるのは想像だろうとちょっと引.....く.....あれ?はたから見たらそう見えてたのか?あ、ちょっと寒気がしてきた。あはは、おかしいなゲームの中なのに本当にすごいや。


「あーコーラさんちょっときつい冗談でしたね。流石に私もちぇりーさんと生ものにされるのはちょっと遠慮したいですし、申し訳ありませんでした」


「もしかしてぇ、二人で私のこといじめてる?」


「いや、すみません。それはおいといて、コーラさんとても似合っていますよ。どうですか、使い心地や性能は?」


「いや、めっちゃ満足です。ちぇりーさんも妖女さんも本当にありがとうございました」


 まさか最初に買った防具がこんないい防具なんてな。さすが、現プレイヤーでもトップレベルの職人だ。これからも何かあったら頼むか。強い素材を手に入れたらここに卸してもいいしな。だが、武器の方はどうしようかな。今使ってる武器と同じくbarバリアンの隠れ蓑である鍛冶屋カジリアンでもいいがあそこはどちらかと言うと住民向けでそこまで高性能なのは売ってないし.....今度アンネさんに聞いてみるか。ギルマスの奥さんだしいろいろな筋を持ってそうだ。


「それならよかったです。素材をチェリーさんに渡した甲斐があったというものです」


「そうだったのか、結構上位のモンスターの素材のようだけど、自分で使わないのか?」


「私はこのスク水があれば十分ですし、あなたみたいな面白い方に使ってもらえる方が独狩森狼ソロハンター・FW影狼シャドーウルフも浮かばれるでしょう」


 それならいっか。というか、やっぱり普通の攻略でもスク水着てるんだなもしかしてスク水万能説出てきた?よくよく考えてみると、動きやすそうだし特殊な素材であればスク水特有の流線を生かして攻撃を受け流せるのでは?


「いろいろと考えているみたいですが、このスク水にはそう大した能力はついていませんよ」


「そうねぇ、唯一付いているのが神の加護ご都合的解釈っていう、不自然な光でポロリを防いだり、素材にはそんな力ないはずなのに何故か絶対壊れないだけの能力なのよ。本当に不思議ねぇ」


 あ、この防具スク水この人が作ったのか。ご都合的解釈か、、、周りへの配慮だろうな。ナイス運営。


「あぁ、そうだわ。お支払いなのだけれど……」


「あーなんか強そうなモンスターの素材だし結構しますよね?申し訳ないんですけど、お金集めに結構時間かかると思います」


「いえ、妖女ちゃんと話し合ったのだけれどね、今回はただでいいわよん。これからも贔屓にしてくれるならば…ね?」


 ふむ、要するにこれからも防具でほしいものがあったらここで作ったり素材を下ろしたりすればいいんだな?それだけで素材分の見返りになるかといわれると微妙な気がするけど。


「コーラさんそんな難しく考えなくてもいいですよ。あまりよくはありませんがそれは私たちからの期待とお礼です。これからも仲良くしてくださればそれで十分な見返りになります」


「あーそういうことなら受け取ろうかな。なんか、照れくさいな。まあ、これからもよろしく頼むよ」


「ええ、よろしくお願いしますね」

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