10話 月光草
「なにもありませんね」
「うーん、妖女さんでも知らないアイテムだし、どっかに隠し道でもあるのか?」
結局そのまま妖女さんと雑談しながら気が付いたらツァーリ旧探鉱山廃道のボスといわれている
どこか途中で見逃したか?でも、見逃したとしたらそんな途中に隠してあるものをピンポイントで見つけることは難しいし、とりあえず、この部屋の壁叩いてみるか。
どれ、コンコン.....ない.....ない....ない.....ない。
うーん、ないか。もう結構時間たっちゃってるし、早く見つけない.....と.....ん?時間、か。頂上に着いたとき月がよく見えるよう早めに出たけど、思いのほかスムーズに進みすぎてまだ月がしっかりと出ていない?もしくは雲に隠れてる?特定の角度で月光がないと駄目.....どれにしても、ここで少し待ってみるか。
「あー、妖女さんは時間まだまだ大丈夫ですか?俺は学生なんで最悪徹夜でも行けるんですけど」
「敬語が出てますよ。ぜひもっとフランクに接してください。私とこうして話そうとする人はなかなかおりませんので縁を紡いでおきたいのです」
「あぁ、すみません、じゃなくてすまん。これから気を付ける」
どうも、距離感がいまいちつかめねぇんだよなぁ。今まで部活をせず、バイトもせず年上の友人といえる存在は先生だけだったし、同い年以外の人と話すのは慣れない。まぁ、ゲームでこういう経験を詰めるんだからゲームもいいところあるな。
「ええ、
あそこ?ほぉ、なるほどあそこだったか。壁からほのかに光が出てるな。何かが輝いてる?それともそのまま月明かりか?まぁ、それも見に行けばわかるか。さて、どうすればいいんだ?
「えっと、さっきあそこも含めてた叩けど駄目だったよな?」
「そうですね、もう一度触れてみましょうか」
どれ、おお、壁が動いた。なるほど、このタイミングじゃないと開かないようになってたのか。
さて、この先に月光草があるはずだ。早く取りに行こう。
「おぉ、これは.....」
「すさまじいですね。言葉を失ってしまう光景です」
壁の先は一言でいうならとにかく明るかった。天井に空いた穴から月光が小さな部屋にぎっしりと生えている月光草へと降り注ぎ、月光草が発する紫色の光と交わりオーロラのような光景を生み出している。ただ一つ問題があるとしたら……
「なんでスク水着てんだよ本当に。幻想的な風景と合わねぇんだよ!そこに目が行くと現実に戻っちゃうんだよ!それ脱げよ!」
「んっん!あり、申し訳ありません。本当にきれいですが早く取りましょう。そのために来たのですから」
あり?はぁ、本当に一人で来ればよかったかもしれんな。だがまぁ、本当にきれいでもったいないけど妖女さんの言う通りとるために来たんだよな。
「さて、コーラさんはこの場所について公言なさいますか?お気づきだとは思いますが、月光草かなり
あぁ、本当にやばい
月光草
月夜の明かりを受け魔力を生成する。月明かりをため込み昼の間に魔力を生成するため、ため込んだ直後は紫色に光り輝いて見える。
多分これ、エリクサーとかの材料になるんじゃないか?お花屋さんや調剤屋などいろいろと回ってみてみたが、
「公開はするつもりはないかな。独占したいってわけじゃないけど、公開したらこの光景が失われてしまうのがただただ嫌だ。あれ?実質独占してる?でもまぁ、うん、そういうことなんだけど、いい?」
「ふふふ、そうですねこの光景を失うのは嫌ですね。そもそも、私は教えてもらった身ですのでコーラさんの意思に沿いますよ」
「じゃあ、そういうことで、べつに絶対隠すってわけじゃないからなんかあっても起こりはしないから、友人とかいれば読んで見せてもいいから。俺もいつか呼びたい奴いるし」
「.....アァ、アリガトウゴザイマ、ス」
?ああ!そうか、こんなプレイしてるからゲーム内フレンドはいないしリアルの人ともできないのか!かわいそうに.....いや、別にかわいそうではないなうん。こういうのを自業自得というのか。
さて、それじゃあ帰りますかね。
「ふぅ、今日は助かったわ。スムーズに奥まで行けたし、一人で言ってたら見つけられなかったかもしれなかったわし、ほんと助かった」
「いえいえ、こちらこそ、貴重な情報ありがとうございました。今日は遅いのでエミリーちゃんには明日渡そうと思いますが。ふふ、エミリーちゃん待っていてくださいね。」
「まったく、ぶれないな。あ、ステーキでお願いします」
来た道をそのまま戻りすぐにツァーリの町へ帰ってきた俺らはギルドに併設されている酒場で遅めの夜飯を食べに来た。そういえば俺、この町でまだ飯しか食ってないわ。
「この時間にステーキですか、若くていいですね。私もステーキでお願いします」
「結局ステーキにするんかい」
「若い人に負けてはいられないですからね」
うん、やっぱりこの人頭のねじどこか飛んでるな。なんだろう、性癖が特殊なのは見た目からわかるんだけどそれ以外もこう、節々で変なところがある。まぁ、一般人じゃスク水着てプレイなんかしないよね。
「そういえば、今日公式から1週間後に第一回イベントを行うといっていましたが見ました?」
「そんな発表あったんだ。どんな内容だった?」
「大規模なフィールドで行うバトロワ式のPvPだそうです。優勝者には称号とイベントポイントがボーナスで大量にもらえて、そのイベントポイントを使って商品と交換できるらしいです。勝敗は最後に生き残ったとかではなく、3時間の間に倒したプレイヤーの数とその倒したプレイヤーの持っていたポイントすべてを合わせた合計値が一番高かった者が優勝となるだそうです、実際はもう少し詳しく書いてありましたので後で確認してみてください」
おう、思ったより詳細だな。それにしてもバトロワか。あいつら、ゆーりと先生も出るだろうけどあいつらとやりあえる確率はアーコズが販売された1万台からして2/10000。何とか探し出して討伐しなければ。
「俺はもちろん出るが。妖女さんは?」
「私も出ますよ。こういったイベント事は参加しないと楽しめませんからね」
妖女さんも出るのか、そうなると3/10000か。少し会える確率が上がったな。
だが、そうかPvPねぇ。まだ、獲得したのに使えてないスキルとかも使えるようにしないとだし、防具も買わないとな。まだ初期装備だからな。縛りプレイしてたっけ俺?してたわ、ステータス振る気無かったわ。
まぁ、あとはなるべくレベル上げしつつ新たなスキル獲得を目指さないとか。
「まぁ、今回の探索で倒したモンスターの素材を売っても買えてズボンだけだし、まずは金集めしないと」
「コーラさんさえ良ければ知り合いの職人をを紹介しましょうか?裁縫師ですので、金属防具は作れませんがコーラさんの立ち回り的に布、革装備の方が良さそうですしもし宜しかったらこの後どうですか?まぁ、多少癖はありますが」
正直めちゃくちゃありがたいが、このスク水を着たロリコンが言う癖があるはとにかく怖すぎるって。全裸か?全裸なのか?スク水よりやばいやつ……もしかしたらバニーなのか?おっさんがバニーホップを着てる可能性……うげ、さすがに気持ち悪くなってきた。
「おや?体調が優れませんか?」
「あぁ、いや、うん、大丈夫。そうだな、紹介してもらいたいわ。正直、イベントまで時間もないし1から探すのは手間だったから正直まじ助かる」
「それなら良かった。インしてるみたいなのですが、今から行きますか?」
「そうだな。次いつ時間が合うかもわからんし行くか」
さて、一体どんな人なんだろうか。
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