1話 エミリーちゃん
「ここまで来れば大丈夫だと思う!」
幼女が倒れそうになったのを助け、安全なところまで連れていこうとして連れていかれた俺は、幼女に手を引かれ安全なところまでたどり着いた。
「プレイヤー……ここでは、旅人だったかな?が増えたから気をつけるんだよ、悪い旅人もいるからね」
さっきのような奴から、もしかしたら幼女スキーの変態が沸くかもしれない。
「うん!そういえば、お兄ちゃんは行きたい所ないの?案内してあげる!」
それはありがたいし、その提案に乗ろうかな。
「うーん、どこか訓練場みたいな戦える場所は無い?」
「お兄ちゃんはモンスター倒しに行かないの?他の旅人さんはすぐに街の外に飛び出して行ったのに……」
まぁ、普通はそうだよな普通は。でも俺は職業についてない……つまり無職だからな。う、口が裂けても言えない。
「あー、うーん……まずはちょっと訓練してから実際にモンスターを倒そうかなって。」
「じゃあ、ギルドかな!着いてきて!」
それにしても、本当にこのゲームは凄い。肌で感じる風や街並みも凄いがそれよりも、目の前の幼女……エミリーちゃんと会話のキャッチボールがしっかりと成立している事が何よりもすごい。頭の上に名前が有るか無いかそれしかNPCとプレイヤーを見分けることが出来ないとは 一体どんな超技術でこんなことができるようになったんだか……実は異世界でした!って言われる方が納得できるぞ。
「はい!ここが冒険者ギルド!ギルドに登録したら訓練所が使えるようになるらしいよ!お父さんが言ってた!」
「うんありがとう、じゃあ行こうか。」
これテンプレとかあるのかな?こう入った瞬間に絡まれるみたいな。ガキ連れてこんなとこ来るんじゃねぇてきなのとかありそうじゃない?
だが実際は中に入ったら絡まれると言うようなことはなく、そもそもどちらかというとカフェのような雰囲気でどこかがっかりする。
というか人多すぎ。そりゃそうだよな、ギルドがいくつもあるわけないし、今日はリリース初日。ギルドがあると分かったらそりゃあ人が集まるわ。
うーん、どれくらい並ぶかなぁ……俺はいいけど、エミリーちゃんを長時間連れ歩く訳にも行かない。さっきからちらちら見てくるやつも居るから不安だし。
「あら?エミリーちゃんじゃない、こんなところにどうしたの?」
「あ!シシリーさん!今ねこちらの旅人さんの案内をしてたの」
「そうだったのね、旅人さん……えっと、、、」
「初めまして、コーラです。訓練場が使いたくて案内してもらいました。」
「そうだったのね、エミリーちゃんもいるし、あまり良くはないけど優先的に登録しちゃうわね、職業は?」
…………おぅ、まじか。いきなりドストライクの球どころが顔面一直線のデッドボールが来たな。
「えっと……無職です」
「ん?もう一度言ってもらってもいいですか?」
「あー……その……無職です」
「あー、すみません、職業に着いていないと登録できないのですが……」
うーん、まじか。
「ごめんなさい、無職だと登録できないの知らなかった」
そんな無職連呼しないで、悲しくなるから。そもそもステータス表記が悪いんであってエミリーちゃんは悪くないし無職だって知らなかったんだからしょうがない。というか何で空欄とかにしなかった?!わざわざ無職って書かなくてもいいじゃん!それならフリーとか他にもいいようあるじゃん。
「いや、エミリーちゃんは悪くないよ、いやぁ、でもどうしよっかなぁ」
「えと、わかんないけどもしかしたらあそこなら使えるかも!」
「そうだね、エミリーちゃんに頼りっぱなしで申し訳ないけど、そこ行ってみようか」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……えっとここは?いや、わかるよ。わかるけど」
うん、だってねぇここ町の中心地で、街で一番大きい建物で、一目で誰が住んでいるのかわかる。……要するにここ王城だよね?
「おう、待たせたなエミリー。それで家にいるはずのお前が何でここにいるんだ?」
「えっと……町がうるさかったからお祭りやってるのかと思って外に出たんだけど、他の旅人さんに推されて転びそうになったところをお兄ちゃんに助けてもらったからそのお礼に訓練場に行きたいっていうからギルドに連れて行ったんだけど使えなくてだからもしかしたらってここに来たの……」
「なるほど……おい、エミリー勝手に街へ出ちゃダメだって言っただろ?」
「ごめんなさい」
「そして旅人、俺はトプスだ。第3部隊長をやっている。エミリーを助けてくれたこと感謝する」
「いえいえ、元はと言えば俺たち旅人が悪いんですから。」
「はっはっは!よしっ、訓練所を探しているんだろ?騎士団用の訓練所で良ければ好きに使え!」
え、まじ?やったぜ、ようやく訓練所を見つけた……想定してた流れとは大幅に違うけど、まぁ、よし!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます