苦い砂糖菓子

藤然 優悠

第1話

「私はかわいいから。」「私は認められてるから。」

あいつの言うことには毎回腹が立ってうざかった。


私はあいつが嫌い。


ー半年前ー

「あなたは見事オーディションに合格しました。」

そのメッセージを見た時、私はアイドルになったんだって自覚した。

嬉しかった。

「オーディションどうだった?受かった?え、ほんと?よかったじゃん!

 おめでと〜!!」

親友の明穂あきほは、喜んでくれた。

久しぶりの親友との電話はつい時間を忘れてしまって、いつのまにか朝になってた。


2年前、あるアイドルのオーディションを受けて、明穂はアイドルになった。

私もそのオーディションを受けてた。だけど、結果はダメだった。

明穂がアイドルになるって言った時、私は悔しさを隠して嬉しそうな顔をしてた自信があった。

明穂を傷つけたくなかったから。

でも、明穂にはバレてた。

「あの頃の千郷ちさとの顔、顔は頑張って笑顔を作ろうとしてるんだけど、すごく寂しそうな顔をしてた。原因はなんとなくは分かってたから、その話題からは避けてたんだけど、もう時間経ったと思うから言うね。ありがとう、ごめんね、千郷。私のために、無理して笑顔を作らせて。」

「そうだったんだ。私こそごめんね。」


私は不器用な自分が嫌いだった。

そんな時は、いつも明穂に助けてもらってた。

明穂の意思は誰よりも強くて、かっこよかった。


初レッスンまでの1ヶ月、私は明穂から色々なことを聞いてアドバイスを受けた。

明穂も気合を入れてたから、最後の一週間は厳しい先生みたいになって少し怖かった。

緊張せず、無理せず、気にせず。

初レッスンの前日、明穂は私にそう言ってくれた。


明穂とは、ずっと親友でいたい。

そして、いつまでも憧れの存在でいてほしい。










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苦い砂糖菓子 藤然 優悠 @yuruyuru_2275

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