カウンター

「香澄、そろそろ一緒に出かけよう」

「え? いや、無理しなくてもいいよ」


 まさか香澄と遊びに行くのに無理をしていると思われていたとは。隼人の対人性能舐められすぎ?


 しかしそこは強引に気合で押し切る。


「まあまあ。最近出かけてないし、たまにはいいでしょ」


 誤解、解かなくても大丈夫だろうかと不安になるが、一旦放置しておく。なんやかんや耐えるので。


「私は、隼人くんと出かけるの嬉しいけど」


 普段なら照れてしまう言葉も、一旦スルー……できるわけもない。隼人は頬を真っ赤に染めてシャイな様子を見せる。


 ここまで来て、ずっと出かけなかったらフラれそうだからそろそろ頃合いかと思ったとか言えるわけもない。というかそんなことしたら誤解が加速する。


 だから、一言だけ。


「俺も嬉しい」


 それは渾身のカウンター。

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