モテ力

 翌日、香澄は男子に積極的にアピールした。


 香澄に近づきたいと願う男子たちを全員自分の派閥に取り込んで、男子対女子の構図を作る目的だ。


 しかし、香澄の派閥に所属する女子はもともと女子の半分ほどいる。


 必然的に、愛華の派閥は少数派となり、多数派である香澄の派閥に移動する女子もいた。


 最終的に残ったのは、愛華と関係の深い者だけ。せっかく恭介が増やした愛華の派閥の男子も、ほぼ全員香澄の方へ移動。


「木原さんより香澄の方がモテるのか?」


 実際に香澄に尋ねてしまうあたり隼人は割とセンスのない人間であることがわかる。


 だが、せっかく隼人が人間関係に興味を持ってくれたから、と子の成長を見守る親の気持ちでうなずく。


「正直に言うと、私は学年でトップクラスに人気だよ」

「だいぶ自信があるんだな」

「根拠のある自信ほど有用なものはないからね」


 香澄は本当にモテる。だから、香澄の主張は正しいものだった。

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