体育無双(笑)

「お、隼人次体育か」

「ああ」


 隼人のクラスの前を通りかかった岳が、着替え中の隼人に話しかけた。


「隼人って体育できたっけ。バドミントンが壊滅的なことだけ覚えてるんだけど」

「バドミントンはまた例外みたいな話になるけど、体育はどちらかといえばできない」

「もう種目選択は終わったんだよな?」


 この学校では、体育は各学期一種目選んでそれを一学期続けてやるという流れで行われる。


 二年生一学期の種目は、サッカーとバドミントンとソフトボールから選択で、隼人はソフトボールも壊滅的なので消去法的にサッカーになった。


「ああ、俺はサッカー」

「……そうだよな、実質選択肢二個だし」

「いや、一個。俺ソフトボールも終わってるから」


 参考までに、一年生の体力テストでは隼人のソフトボール投げの記録は十三メートル。壊滅的なまでに壊滅的でどこから擁護したらいいかわからない。


「……可哀想」


 シンプルな同情が一番心に刺さった。

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