スペック差

「はい神引き」

「うん、私も隼人くんと隣になれて嬉しい」


 隼人の意味不明な独り言を香澄は難なく理解する。その様相は、まさに熟年の夫婦。男子からの羨望の視線が止まらない。


 香澄はそれに気づかないふりをしつつ隼人と話す。


「せっかく隣の席になったし、次のテストで勝負しない?」

「やだ。俺負けるから」


 隼人は運よく滑り込みでこの学校に入っただけなので、意外と勉強はできない。


 対して香澄はそれなりに勉強もできるしそれなりに運動もできるので、ここでもスペック差が明らかになっていた。


「じゃあ私の不戦勝で」

「あーもういいよそれで」


 どうせ勝てないので拗ねた。

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