気合い、入れすぎた……

 隼人の料理が完成し、机の上に並べ終わったので、隼人は香澄を呼んだ。


「作りすぎじゃない?」


 香澄が指摘する。


 隼人が作った料理は全部で十皿以上あり、二人では到底食べきれない。


「作ってるうちに楽しくなっちゃって、つい」

「これ、保存しようとしても食べ終わる前に駄目になっちゃいそうじゃない?」


 二人で食べきれないので当然保存する必要があるが、冷蔵庫に入れたとしても二人では駄目になる前に食べきれなさそうだ。


 香澄の言葉によって隼人はその事に気づく。


「隼人くん、どうする? お隣にお裾分け?」

「気づいてるかわかんないけど、今は両隣に誰も住んでないよ」


 それは別に隼人がうるさいからとかそういうわけではなく、本当にたまたま、隼人の両隣にだけ綺麗に誰も住んでない。


「じゃあ隣の隣?」

「……そうする?」

「だってみんなに振る舞うとかはできないだろうし」


 香澄は一緒に住んでいることがバレないようにという観点から言った。


 隼人は少し考える。


「田圃さんと相坂って、弁当だっけ?」

「いや、確か弁当じゃないはず」

「じゃあ学校に持っていく?」

「ありかもね」


 二人は、余った料理を学校で二人にお裾分けするという方向で合意した。


「じゃあ、これは俺が持っていくね」

「わかった」

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