二人組作ってくださーい

 体育館でのバドミントンの授業中、隼人は危機に直面していた。


「二人チームを組んでいい感じに試合しといて」


 前に立った体育教師が適当に指示を出す。隼人は二人組を組む相手が見つからず、困惑した。


「あれ、清原二人組は?」


 そんな中話しかけたのは、岳だった。


 冷やかしだろうかと隼人は視線を向けながら答える。


「相手、いない……」

「じゃあ俺と組も」


 急に言われて隼人がたじろいでいる隙に、岳は隼人の手を取り自分の方へ引き寄せた。


「ほら、ラケット」

「あ、ああ」


 言われるがままにラケットを受け取ると、岳がなにやらほかのチームに声をかける。


「試合するから、コート入ろ」


 幸いコートは一つ空いていて、隼人と岳はそこで相手チームと向き合う。


 羽が、体育館の喧騒を切り裂いて宙に舞った。

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