ひとりぼっち

 学校に着き、冬休み前と変わらず隼人は自分のクラスに入る。


 クラスメイトのうち数名がこちらを盗み見たような気もするが、話しかけられることもなく、独りで教室の左後ろの自席に荷物を置く。


 ふう、と一人溜息を吐き、椅子に腰かける。


「清原く~ん!」


 聞こえるはずのない声が聞こえて振り向きそうになるが、学校で香澄と関わるのはリスクが大きすぎると思いなおし、動揺を隠し前を向く。


「あれ、聞こえてない? ごめん、清原くん呼んでくれる?」

「香澄? なんで清原?」

「まあ、ちょっとね」


 香澄が友達に隼人を呼ぶように頼むと、香澄の友達が隼人の肩を叩く。


「清原、香澄に呼ばれてるよ」

「……無視するって言ったよね、って伝えといて」

「……? 清原、香澄のこと嫌いなの?」

「そういうわけじゃないんだけど、学校ではあんまり関わりたくない」


 香澄の友達は誤解をしているようだったが、訝しげにしながらも香澄がいる廊下へ戻る。


 隼人はほっと再び息を吐く。

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