今夜は寝かさない……ZE☆

「私、今夜は清原くんのこと寝かさないから」


 香澄が隼人の真正面で胸を張って堂々と宣言した。


 隼人は香澄の大きな胸が張られているのを見て目を逸らす。


「どういうこと? よく寝るのは美容とかにも良いと思うんだけど」

「清原くん、女子にはとりあえず美容の話しとけばいいとか思ってない?」


 隼人は自分の考えが見透かされて、また目を逸らす。


「今夜はクリスマス、聖夜だからさ。特別な夜だし許されるよ」

「たぶんだけど、住友さんは大晦日にも徹夜しそう」

「する」

「そんな短期間に徹夜するのは健康に悪いから、今夜は寝ようか」


 隼人は真面目な表情で指摘した。


「いやいや、冬休みだから睡眠時間は確保できるし」

「生活リズムも大事だろ」

「なんか清原くん、お母さんみたい……」


 香澄に悪い意味でそう言われて、隼人は少し悲しかった。


「でもなあ……」

「私と一夜を過ごすの、嫌……?」


 香澄が不安げな顔で言った。隼人が逆らえない表情に屈してしまいそうになる。


「いや、でも……」

「そっか、無理は言わないよ。今夜は寝ることにするね」


 しょんぼりとした様子で自分の部屋に戻ろうとした香澄に、隼人が「今夜くらいは徹夜してもいいか」と言ったのは必然だった。

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