猛攻

「さっきも言ったでしょ? 私は一人暮らしで寂しいの。それに、清原くんの告白こそ断ったけど、清原くんのことは特別な存在だと思ってるから」


 なるほど、さすが学校一の美少女。どうやら学校一のコミュ力も兼ね備えているらしく、距離の詰め方は隼人では想像もつかないほどだった。


 隼人も、まさか出会って一日で特別な存在と呼ばれることになるとは思っていなかった。


「というかちょっと待って、住まわせてって、同棲ってこと!?」

「言い方を変えるならそういうことだね」

「ところでっていう前置きから始まる話題として相応しくない! もっと厳かな接続詞から始まるべきだ!」

「突っ込むところ、そこ?」


 隼人も突っ込みどころはここではないと分かっていたが、頭が混乱してもはやそれどころではなかった。


 とりあえず隼人は、『ところで』という前置きが好きな人に一度謝った方が良いと思う。


「それで、同棲だっけ? 悪いけど、俺には今日会ったばかりの人と同棲するほどのコミュ力もお金もないんだ」

「自分の分のお金は自分で出すから!」


 なおも食い下がる香澄に、隼人は頭を抱えた。


 その様子を見た香澄は追撃とばかりに言葉を続ける。


「迷惑はかけないから! 話し相手になってほしいだけなの!」


 それでも隼人は渋りに渋った。

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