意気投合
香澄の言葉によって傷ついた隼人の表情を読み取ったのか、気まずそうな香澄は話を転換させた。
「ええと、今日は清原くんのお母さんはいないの?」
「俺は一人暮らししてるんだ。法律上は母さんもここに住んでるってことになってるけど」
『どうして一人暮らしをしているのか』という隼人の話を聞いた高校生が当然抱くべき疑問を、香澄は口にするべきか迷った。
海神高校は県立高校であり、その校則上、一人暮らしをすることは出来ない。
そんな中わざわざ一人暮らしをしているのであれば、なにかしらの事情があるのではないかということが容易に想像できるから、彼女は逡巡した。
だが香澄の疑問を読み取ったのか、隼人は訊かれるまでもなく答えた。
「両親とあんまり反りが合わなくて。一人暮らししてからは、落ち着いた生活を送れてる」
隼人の返答を聞いた香澄は、隼人に親近感を覚える。
「私も、一人暮らしなの。わざわざ清原くんの家に遊びに来たのは、自分で選んだのに恥ずかしいんだけど、寂しくなっちゃって」
「わかる! 確かに平穏な生活は送れるんだけど、時折寂しくなるよな」
ただ、そんな香澄の言葉に共感しつつも、隼人は内心では疑問を感じていた。
「でも、住友さんは学校での友達も多いんじゃないのか?」
香澄は相当な美少女だ。これほど性格も良いとなれば、学校での友達はかなり多いことが推測できる。それとも、自分から他人に絡まないようにしているのだろうか。
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