LEVEL.12 収穫祭まで、1週間



“収穫祭”まで、あと1週間ほど。


街の中では“収穫祭”の準備をしているからなのか、いつも以上に賑わっていて騒がしい感じになっている。

そんな中、シュヴァートに呼ばれたロゼッタはシュヴァートの執務室に入ってみればシュヴァートと共にレイヴンとフランが部屋の中に居た。



「急に呼んですまない、ロゼッタさん」


「いえいえ~、父さんに伝書鳩を出した所だったので!それで、話ってのは……?」


「あと少しで“収穫祭”ってのは、ロゼッタさんも知っているよな?」


「あ、はい!3日間開催される年に2回の最大イベント!ってのは、いつもの事なので知っています」


「実は色々とあって中央広場に飾る予定の“大きなカボチャ”が、南の都市から運ばれる予定だったんだが……どうやら、何かしら起きたのか中々到着しないんだ」


「え!?」



いつもなら、この一週間前には到着してはギルド国家の皆で切り抜いて大きなジャック・オ・ランタンを作っては中央広場にて飾っていた。


どうやら何かの事件が起きたのかわからないが、大きなカボチャが届いていないという。



「そこで、だ」


「あ、はい?」


「ロゼッタさんと其処の“討伐士”の2人で、南の都市へと出向いて何が起きたのかを確認して代わりにカボチャを運んで欲しい」


「え!?あ、アタシも!?」


「余程の事にはならないだろう、其処の二人なら」



シュヴァートはレイヴンとフランを見れば、レイヴンは気まずそうにしながらも笑みを浮かべていてフランはシュヴァートを気にしながらも小さく頷いていた。



「まぁまぁ、南の都市でしょ?それなら、半日もあれば行ける距離だし付近は“自警団”が管理しているから大丈夫だろ?」


「一応、近くの管轄は“シキ”辺りが警備に行っている筈だ」


「なら、大丈夫でしょ」



レイヴンは満面な笑みを浮かべながらも、不安そうなロゼッタの頭を優しく撫でてロゼッタの不安を軽くさせようとしていた。



「………まぁ、レイヴンさんが言うなら」


「うふふっ、可愛い事を言ってくれるじゃんか!こうなったら、ロゼッタちゃんのために頑張らないとな!よしっ、さっさと準備して行こうぜ!フランくん」


「あ、うん!そ、そうだね!」



レイヴンがフランとロゼッタを連れて部屋を退室すると、シュヴァートは先程のフランの態度などを思い出しては苦笑いを浮かべていた。



「まだまだ、という事か………程遠いな、仲良くなるには」



シュヴァートの執務室から出たロゼッタ達は、地図を開いて場所の確認を行ってからギルド国家の都市の南の門へと向かった。

そこからは、南の都市へと向かうために魔導馬車を借りてフランが操縦する事になった。



「あの“魔力”とかは、大丈夫なの?」


「え、ボク??ボクなら、全然これぐらいの距離は大丈夫だよ!雪だるまくんか居るし」


「雪だるま??」



フランが言うと同時にロゼッタの頭に突如として、小さな水色の雪だるまが乗っては嬉しそうな表情を浮かべていた。



「つ、冷たっ!?」


「ふふっ、雪だるまくんロゼッタさんを気に入ったみたいだね!珍しい!“討伐士”の皆にしか、雪だるまくんは頭には乗らないから」


「そ、そうなの??」


「♪」


「あ、喜んでるのかな??」



ロゼッタが上を見上げて雪だるまに話しかけると、話しかけられた雪だるまは嬉しそうにしては頷いていた。



「んじゃ、準備は大丈夫か?なら、フランくん頼むぜ!」


「おう!任せておけ!」



ロゼッタとレイヴンが馬車の中へと入ると、フランは魔導馬車を操縦し始めて魔導馬車は動き出す。



「そういえば、レイヴンさん」


「んー、何ーロゼッタちゃん?」


「レイヴンさんって、“討伐士”の中でも年長さんですよね?」


「あー、そうだなぁーそれどころか“ギルド国家”の中で1番の年長だな」


「あ、そうなんです?」


「おうー、レヴァンと知り合ってから“ギルドキャラバン”ってのを作ってな?それからは、沢山の仲間と知り合ってから“旧帝国”へ革命を起こして“ギルド国家”を創設したってわけだ」


「へぇー、そんな歴史が……」



レイヴンはロゼッタと世間話をしながらも、フランの様子は横目で確認しながら周りへの警戒は解いていない。

特に、このギルド国家と南の都市へと繋ぐ街道ってのは盗賊などが出やすいからだ。



「レイヴンさん」


「どうしたー、フランくん」


「雪だるまくんが少し警戒しているので、一応すぐに対応が出来るようにお願いします!」


「おう、わかった………いや、丁度良いタイミングだぜ……俺が仕掛けた“魔導トラップ”に沼ったみたいだな」


「流石だなぁー、レイヴンさん!」



ロゼッタはレイヴンとフランの会話に首を傾げては、何となくだが“何かあった”という事だけは察しては無駄に動かない事にした。



「安心しな、ロゼッタちゃん」


「へ?」


「盗賊からの“襲撃”ってのは、“来ないぜ”」


「どういう事??」


「オレが仕掛けた“魔導トラップ”ってのは、この辺の“自警団”に連絡が行くようにしてあるんだぜ」



魔導馬車が止まるのと扉が開いて、開けた本人は見知ったシキと金色の髪色をしたハネっ毛のあるウルフカットにしており、薄めの空色の瞳色をした切れ長なキツめの目をしている。

軽装な感じの剣士のような服装をしては、両手には小手を身に着けている背の高い青年である。



「よぉ、ご苦労様だな!レイヴンさんよぉ!」


「アレックスじゃん」







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