LEVEL.5 悪意のある“霊”




食事をしている最中でカルマが第2試合の準備で先に戻ったあと、シキと共にゆっくりと紅茶を飲んで世間話的な事をしていた。



「それで、巻き込まれて此処に来て参加していたんっすね」


「そうなんですよー……」


「……ほら、そろそろ“準決勝”っすよ」


「えぇっ!!?もう!?」


「まぁ、カルマさんっすから」



シキと共に待合室へと向かえば其処には、カルマが第2試合を終わらせてソファで寛いでいる姿を見つける。



「えっと、カルマさんお疲れ様」


「!おう、終わらせてきたぜ!そういえば、嬢ちゃんの名前聞いておらんような……」


「あ、名前?アタシは、ロゼッタって言います!一応、色んなモノを売っている道具屋の娘ですっ」


「ああ!ヴェテルさんの所の!だから、何処となく似ているなぁーって思ったら……」


「ヴェテルさんの娘さんだったんっすね……あ、呼ばれているっすよ?ロゼッタさん」


「あー、はい……イッテキマス」




ロゼッタは複雑な心境を抱いては、待合室から待機室に向かうって居ると何処となくシキに似た雰囲気のある男性が居るのを見つける。



【おー、きたきた!老兵の人が言ってた娘でしょ?】


「あ、はい」


【これから、準決勝でしょ?なら、俺が手伝うよ!どうやら、相手は機敏に動くヤツみたいだし………この俺の腕なら、一発で勝てる!】


「???」


【それに、ちょっとキミに協力して欲しい事があってな?ほんの少しでいいんだ】


「は、はい……??何なのかわかりませんけど、悪いことじゃないなら……」


【おう!ちょっと、身内を見たいだけなんだ!とりあえず、この準決勝を終わらせようか】



シキに似た雰囲気の男性がロゼッタの中に入ると、長弓を持ってはフィールドのステージへと向かう。



【俺は、ハンターをしていてな?それなりのランクのハンターで、遠距離攻撃で有名になったハンターなんだ】


【だから、例えば速いヤツだろうと“俺の射程の眼”からは逃げれない】



ロゼッタがステージ上へと来れば、其処には狩人のような隠密が得意そうな服装をした青年が足踏みをしながらも準備運動をしていた。



「お、来たか!」


「ははっ、お手柔らかに」


「んなー、不躾な事はしねぇーぜ!」


「えー……」



狩人のような隠密が得意そうな服装をした青年は凄い速さでロゼッタへと向かってくるのだが、ロゼッタが軽々と避けてから長弓を構えては離れた青年を捉えては直ぐに矢を放つ。



「何っ…!?」



相手の青年の頭上ギリギリに矢が通り過ぎては、その先の朽ちた柱らしきモノに刺さると同時に朽ちた柱らしきモノは真っ二つになって崩れていくのを青年は固まりながらも見つめていた。



「………こ、降参だっ!む、無理だ!アレ、ワザと外しただろうしっ…!」



相手の青年は慌てながら両手を挙げて降参の意を示していて、それを確認したシキが試合結果を確認する。



「第2試合、ロゼッタの勝ちっす」


「あ………」


【おー、おー!丁度良かったー、直接会えるってのは凄く良いもんだな】


「おにーさん?」


【アイツ、俺の息子なんだよ】


「え!?」


【アイツが生まれるって時に、俺は仕事でヘマをしてな?それで、アイツが生まれた時に居合わせる事が出来なかった……】



ロゼッタはシキを見ていたら無意識に涙が溢れては袖で涙を拭ってから、待機室に入れば協力してくれたシキに似た雰囲気のある男性がロゼッタから離れると光の粒子となって消えていく。



【ありがとうな、お嬢さん】


「これぐらいしか、出来ないので」


【それと、お嬢さんには忠告しておく】


「忠告、ですか?」


【俺や爺さんは“善良な霊”だけどな、此処には別の“悪意のある霊”が存在している……もしも、ソイツに“身体を乗っ取られた”場合は強く“願ってみるんだ”】


「“願う”……?」


【そうすれば、“運命”がお嬢さんのために動き出して助けてくれるさ】



シキに似た雰囲気のある男性は笑みを浮かべてから、ロゼッタに近寄り優しく抱きしめてから優しくロゼッタの頭を撫でると同時に完全に消え去っていく。



「あ……」


「終わったんか、ロゼッタ?」


「カルマさん」


「俺は、これから準決勝してくるわ!」


「あ、はいっ」



カルマはロゼッタの頭を優しく撫でてからステージの方へと駆け出していくと、ロゼッタはカルマの背中を見つめていた。


先程のシキに似た雰囲気のある男性が言っていた言葉が気になって考え事をしていると、ふとっ身体が何かに引っ張られるような感覚がして振り向くと赤黒い光の粒子を纏った黒い人影がニンマリと笑みを浮かべていた。



「えっ……!?」



ー俺や爺さんは“善良な霊”だけどな、此処には別の“悪意のある霊”が存在している……もしも、ソイツに“身体を乗っ取られた”場合は強く“願ってみるんだ”。



(もしかして、さっきのお兄さんが言ってたっ……“悪意のある霊”ってヤツ!?)


【便利ナ器ダナ、借リテモイイヨナァ?】


(いや、良くないんですけど!?)


【俺ハ、アイツニ恨ミガアルンダヨ!!アイツハ、絶対ニ殺シテヤルッ!!!】



赤黒い光の粒子を纏った黒い人影が、完全にロゼッタの中へと入り込むとロゼッタの雰囲気がガラッと変わると近くにあった刀剣を掴む。



「これより、“決勝戦”を開始します」









NEXT

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る