一年を振り返る 2023/12/30

 この2023年で一番印象に残っていることは、小説を書き始めたこと。

 そして、それが自分にとっての2023年でもある。


 9月くらいだったか、短編を毎日書き始めた。

 小説を本格的に書きたいと思い、始めの一歩ということで短編から始めた。


 なんとなく小説家になりたいという漠然とした夢に対して、この瞬間はっきりと行動に移したのだ。

 最初は我ながらひどい出来栄えだと思う。

 けど、最近はなかなかいい感じにかけているのではと思う。

 手前味噌だけど。


 仕事は楽しくない、人づきあいは嫌という、ネガティブな感情から始めたものだが、やってみると結構楽しい。

 みんなが創作活動に夢中になるはずだ、と勝手に納得したものだった。

 小説を書いていると、とても充実しているのを感じる。

 なるほど、夢をみることは大切だ。


 夢と言えば、最近たくさんあるうちの夢の一つが叶ったな。

 異世界に行くこと。

 転生ではなく、転移だけど似たようなもの、っていったら怒られるか。

 地味なチートだけど、もらったのでそこそこ嬉しい。


 だけど年末年始はオタ活で忙しいし、小説も書きたいので、早く帰らなければいけない。

 だからチートを駆使して、とっとと世界を救って……あれ?


 なんで私は走馬灯みたいに今年を振り返っているのだろうか?

 私はさっきまで何をしていた?

 

 少しずつ頭が冴えてくる。

 思い出した。

 私はこの異世界に来てから世界を巡り、世界を脅かす悪と対峙していたのだ。

 それら順番にチートで滅ぼたが、最後のボスにチートの対策を取られ、敗北したのだった。


 目を開けると、見慣れた光景が目に入る。

 ヒイキにしている宿屋の部屋だ。

 横を見ると仲間が心配してこちらを見ていた。


「気分はどうだ?」

「最悪だよ」

 仲間の気遣いに、素っ気なく答える。


「少し休むか?」

「大丈夫だ。チートですぐ回復できる」

「体はな……。心の方は回復しないだろう」

「安心しろ。あのラスボスが生意気にかけていた眼鏡を粉々にしてやりたくて、ウズウズしてるよ」

「なら大丈夫だな」

「ああ、あと対策も思いついた。

 準備が出来たらすぐ行くぞ。

 次は負けない」

 

 私には元の世界に戻る理由がある。

 早く戻って、人生を満喫する。

 それが自分の中の最も大切な夢だ。

 それを叶えるために、過去を振り返っている暇など、私には無いのだ。

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