第51話 アリスと魔導本の真骨頂②
「
まるで
「そ、そんな馬鹿な……」
「こ、こんなのあり得ねぇ。俺は夢でも見てんのか?」
「無能って話じゃなかったのかよっ!?」
当然、大変ご愁傷様なことにそれに真正面から対峙する王国兵士の表情はお察しなものだった。
まぁ同情はしないけど気持ちはわかる。ヤンキー氏なんて一応責任者的な立場のはずなのに、特に何かするわけでもなく大口を開けて間抜け面を晒しているだけだもんね。
「う、狼狽えるなぁ!! 所詮は範囲魔術だ。命中率も低く威力も大したものではないはずだっ!!!」
しかしそこは流石王国兵隊長といったところだ。彼はこの状況に関わらず毅然とした態度を示し、動揺して今にも逃げ出しそうな王国兵士達を一瞬で正気に戻した。
ふむ、隊長の言ったことも一理ある。RPGとかだと範囲魔術は威力が下がったり命中率が極端に低かったりもするもんね。それと似たような認識なんだろう。
『――いいやそんなことにはならねぇさ』
しかしそんな彼らの淡い希望を打ち砕くように、魔導本がしたり顔を浮かべてそうな声音で呟いた。
放たれた魔術はまさに板野サーカスもとい空中大サーカス。
天を埋め尽くす勢いの
そしてその全てが回避すべく逃げ惑う王国兵士達を追尾した。
ひえっ、まさかの自動追尾機能かよ。
「だ、駄目です隊長!!」
「くそっ、回避しきれねぇっ!!」
「しかもこの 範囲魔術のくせに威力が桁違いに高く……ギャァッ!?」
『俺様の座標固定能力は所謂必中の術だ。そこにアリス嬢の魔術が合わさりゃぁこんな様になる寸法さ。言ってみりゃぁ必中必殺ってやつだ』
なんて光景だ。阿鼻叫喚。地獄とはまさにこのことだ。
火炎弾は天を埋め尽くし駆け巡る流星群のように降り注ぎ、その全てが王国兵士達をあますことなくぶち抜いた。
うへぇ、これはなんとも凶悪な組み合わせだ。
被害は甚大で、あれだけいた王国兵士は見る影もない。
死者こそ出ていないものの、白銀の輝きを放つ鎧はひしゃげ砕け原型を留めておらず、とにもかくにも凄惨たる有様だった。
「うぁ……うう……」
あれだけの数がいた王国兵は今や一人たりとも立つことすら敵わない。例外なく地面に横たわり地獄の亡者のように呻き声を上げていた。
まじか。本当にまじかよ。
いくらレベルアップしているとはいえ百を超える訓練させた王国兵士達を一ノ瀬アリスはたった一つの魔術でどうにかしてしまったのだ。
こういう時に寡聞である俺はろくに言葉を持ちえなかった。そいうわけで、さんはいせーの。
アリスさんまじパネェ。
◆
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