第29話 まさかの新事実
「その……あんまり黙っていられるとそこまで良い気はしないのだけれど」
アリスのステータスを見て驚愕していると、彼女からそんな不満げな声を投げられた。
そりゃそうか。
彼女はこのステータスが原因で蔑まれてきたのだ。意を決して見せたのに黙っていれば決して良い気分にはならないだろう。
「あ、ごめんごめん。決して悪い意味じゃないんだよ」
「ふぅん、じゃあどんな意図があるのかしら?」
うむむ、どう説明するべきか。
まさか彼女になろう展開的に実はもの凄い力を秘めた超当たり職業の可能性があるなんて言えるわけもない。ここら辺の事情に疎く生真面目なアリスなら馬鹿にしているのかと激昂しかねない。
「うーんどうしたもんか。聖剣ちゃん、魔術使い(全)ってそんなに不遇職なの?」
『実際、良くは思われていないみたいですね。魔術使い(炎)みたく特定属性に特化したほうが大成するとは言われています』
『そなの? 魔剣ちゃんが思うに全属性に適性があったほうがお得に見えるけど?』
『うーん確かにそうは見えるんですけど、器用貧乏みたいな扱いになっちゃうみたいですね。あまり高ランクの魔術を扱った話も聞きませんし』
なるほど。
つまりはステ割り振り出来るRPGとかで全ステータスを満遍なく育てるよりも魔力や筋力に特化したほうが結果的に強くなるって話か。
「……そう」
『あ、でもそんな落ち込むべきではないかもですよアリスちゃん。なにせマスター達は異世界転移者であり魔力吸収効率がケタ違いに良いですから。逆に大成する可能性だって十分にありますよっ』
「そう、なのね。どの道、強くならないといけないみたいだし、腐らずにやるだけやってみるわ」
聖剣ちゃんの励ましによりアリスもやる気を出したようだ。とにかく良かった良かった。
もし彼女がありとあらゆる魔術を扱えるようになればこの上ない戦力となる。今後の彼女の成長が楽しみである。それになろう展開疑惑もあるしな。ますます楽しみである。
アリスが落ち着いたところでふと一つの疑問が頭の中に浮かんだ。
「そういえば俺の勇者(陰)って職業ってどうなの?」
『あーマスターの職業ですね。えーと確か影魔術に適性がありますね』
「えっ」
『影魔術ですね』
えっ。まさか勇者(陰)ってそういう意味?
◆
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