第23話―遭遇する戦火―
真夜中のコンテナ
港ではの包まれるような優しい風が吹き。
波の音だけが聞こえる港湾施設で。
「密告するには適切な場所に指定するなんて。
ここで打ち合わせを選ぶ理由あるのかな」
暗雲に覆われる夜空の下を歩くのは美を極めたような少女だった。
その足取りは迷いがなかった。
ここをまるで私有地でも主張するかのような歩行。どこもかしこも数あるコンテナの一つに入る。
「ふーん。時刻には到着することに定評のあるオマエが遅れるとは。
珍しいこともある」
年季のあるコンテナ内には先客がおりドラム缶に
体重をあずけて腕を組んで愛宕美桜に近づくのは
銀髪の美女。
「こんばんは、松永さん」
「嫌味の一つも眉を変えないのか変わらず……
ああ、こんばんは。
なんて調子が狂っちゃうベースだ」
光沢のある白銀の髪をした美女のコーデは、
タンクトップにジーンズというカジュアルな格好している。
流麗な曲線を描いていながら女性からして高身長。
鍛えられた腕は白皙の美しい肌ながら近寄り難い
強気そうな顔をている。
外国人の特有なカジュアルが似合う美女のネームは
日本人離れしたスタイリッシュであるがこれでも
生まれも育ちも日本である。
「あの」
「んっ?ああ、そうか菓子を食べたいんだな。
ほらよ、ピタミン豊富のアメ玉だ」
「美味しいそう。ありがとう
「フン。こういうときは年相応な返しするんだな」
ポケットから取り出し、放り投げて渡された飴玉を受け取る。包み紙を解いて口に。
あまり表情には出さないが美味しそうなオーラを放っているのを傍で立つ松永霜台は苦笑をこぼして
彼女の頭を優しく撫でる。
「コホン。
えー、仲良くしている所を挟まさせてもらうけど。愛宕美桜が来たのなら作戦会議を始めようか」
微笑ましそうな光景をいつまでも眺めて待ってはいられないと部隊長の男は厳然とした声で切り出す。
このままでは話が進まないと十分に理解している
松永霜台でもこのタイミングで「ここで促すのかよ」と心中で悪態をつく。
部隊長もこのまま部下には甘いところのある松永を
注意などしないと進行しないからと知らず。
「申し訳ありません。
えーと、遅れてしまった理由ですが……。
道中で
ちなみに媼とは、おばあちゃんの意味である。
「……言い訳に聞こえるが違うのだな」
「それは隊長が判断してください。
スピードも合わせていき運ぶ距離も離れていて。
で、あります」
「はぁー、取り繕わないのだね。うん、了解した。そういう事であるなら一言だけ告げさせてもらうけどね。愛宕美桜よ我々は慈善活動をするのが目的ではないはずだ。
それは理解しているか」
「はっ!もちろんであります」
「なら……いいのだが。ハァー」
きっと理解した上で見て見ぬふりが出来ない性分。であるのは把握しながらも彼は頭痛を感じずにはいられなかった。
頭痛を抑えるようにする隊長にキョトンと愛宕美桜は首を傾げる。
その後ろにドラマ缶の上を胡座を組んで聞いていた松永霜台は(ほどほど中間管理職みたいな悩みを抱えているのだな)と、隊長に同情的な憐憫な眼差しを向けている。
「情報部から連絡があった。
送られたデータは大分県のある都市部で捉えた。
数時間後には古代種が甦るそうだ」
かつて地球で暴れていたとされる古代の種族。
それが甦るのは同じ異能を持つ者から特定した。
現場に赴いて討伐するのが任務の一環であるのが
「よみがえる……」
隊長は厳粛につぶやいた言葉を首肯する。
「半分は。生体反応は二つらしく我々は寄せ集めたメンバーで討滅、愛宕美桜にはもう片方を単独で
倒してもらいたい。やれるか」
「任せてください。私なら出来ます」
「頼もしい返事だ。支援に回したいところ。
もう少し人員をそっちに送りたいものだが万が一を備えて余裕が無く単独でやってもらいたい。
すまないが、理解して欲しい」
「配慮していただき嬉しく思います。
私は一人でもやれますので、ご心配なく」
単騎であっても恐れることない。
愛宕美桜は驕るわけでも嘯くような態度ではなく事故の戦力から分析しての返答。
頼もしいと感じながらも微笑んで応える愛宕美桜の笑顔に視線をつい逸らした隊長と松永。
(こんな子供を資格を取らせる特別の措置。
まったく、よくよく上層の決断は間違ってはいないとは重々に知っているが最強の戦力があればそうもなるか)
(美桜はまだ高校生だというのに……クソッ!
いくら強力なフィクショナルだからって子供を頼らないといけねぇのかよ)
苦渋な思いで命令を下さないとならない隊長。
もう片方を殲滅にたった一人で送らせないといけないことに実力不足に痛感の松永霜台。
頭を切り替えて詳細な作戦を練っていき、
外を静かなターミナル。
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