はじまり

ぼくはパパとママがいてひとりっ子で可愛がられて育てられた。

まだ幼くて近所の友達と遊んで怪我をしてしまった。公園で遊んでいて少しコケてしまっただけで別に大した怪我はしていない。

それでも「たった1人のかわいい息子が怪我をした」という認識のママによってお医者さんのところに連れていかれ治療をしてもらった。


たいしたケガでもなかったからすぐに終わったんだけど、ママが「本当に大丈夫なんですか」「バイ菌が入ったりして、なにか病気になる可能性はないですよね」とあまりにも言うから先生が「心配なら血液検査してみましょう」と言った。僕は注射は嫌だとごねて暴れたけど血を取られた。

待合室に行っていいと言われたからそこで不機嫌になったぼくはママと一緒にいた。

しばらくしてお姉さんに呼ばれて行くと先生はすごく興奮してギラギラした怖い目をしていた。

「凄いです。これは大発見ですよ!

彼の血液はどの血液型には当てはまらない。

かの有名な黄金の血の子でしょう。素晴らしい。素晴らしいですよ!まさか生きて会うことができるとは」

怖かった。さっきまでの優しいお医者さんの顔ではなくて、ぼくを見ていない。

僕の血は赤くないのか、なぜ素晴らしいのか。

そんなことを聞きたくても声が出ず動くことすら先生に見つめられて出来なかった。

ママも困惑していたが、先生からの説明と何か紙の束をもらってびっくりして、そして見たこともないような顔で笑っていた。

恐ろしいギラギラしてとっても嬉しそうな笑顔だった。

「来週また来てください。それまでに準備をしておきます。」

僕にはなにも分からなかった。


お家に帰るとママはご機嫌には「お祝いよ」「何が食べたい?」と言って料理をしていた。

パパが帰ってきて助けを求める前にママが話しかけてお医者さんからもらったものを見せて話していた。

みるみるうちにパパの目が見開きそしてやっぱり見たこともないギラギラしてとっても嬉しいと言わんばかりの笑顔になった。

何も分からないけど2人が本当に僕の両親とは思えなかった。思いたくもなかった。

僕は耐えきれなくなって「お医者さんとなにをお話してたの、僕にも教えて」と言ったら2人はまたあのギラギラした嬉しそうな笑顔を見せた。

「私たちの大切な貴方は黄金の血と言って世界でも数少ない血液なの。先生がお試しで1回だけ許可が欲しいって言うからママとパパは許可したの。だって世界でも12人しかいないの、13人目に我が子になるとは…多くの人を助けることのできる可能性を持った身体をしているのよ。」「ちょっと血をあげるだけで幸せになれる人がいるんだよ。」「頑張ったら欲しいものなんでも買えるようになるからね」

そうゆうことか…

何も分かりたくはないけど多分僕の血が使われてそこに僕の意思はないことはわかった。

お金になるのか僕は、殺されはしないだろう、分かりやすく言うなら僕は生きて血をあげるだけで幸せになる人がどこかにいてそこからお金がもらえる。

金の成る木のようなものか。


絶望でしかなかった。

僕は来週からずっと血をとられてその為だけに生かされることになる。僕がこれから幸せになれることはないのかもしれない。

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