ブラックレガシー❗

淡雪 隆

第1話 プロローグ


 令和✕年五月一日、ちらほらと桜の花びらが舞い落ちる頃、猟奇事件が起こった。東京湾で死体がプカプカと浮いている男性の遺体が発見された。背中の一部を覗かせ海上を漂う遺体だった。発見者は東京湾で沖釣りをしていた男性で、船長と共に発見したという。

「なんだあれは?」と言う釣り客の言葉に船長が、その物体まで舵を取り、遺体に近づいて確認したのである。遺体の回りは出血で海の水が薄く桃色に染まっており、直ぐに気が付いた船長が早速、いつもの癖で、無線で国土交通省 関東地方整備局 千葉港湾事務所に通報をした。

 港湾事務所が直ぐに出動して、遺体を岸まで引っ張り上げたが、なんとその遺体には頭部が首の根本からなくなっていて、傷口から出血をしていた。更にその傷口はパックリと空いていたので、その傷口である首の根本めがけて海中の魚などに、食い荒らされていた。なんとも酷い遺体であった。第三管区海上保安部、第三管区海上保安部が指揮をとり、事件の解決や事態の改善に当たることになっているが、殺人事件及び死体遺棄事件なので、東京都との相互協力協定書により、警視庁及び湾岸警察署が処理にあたった。捜査員達は、遺体に慣れているといっても、流石に目を背けるような遺体であった。湾岸薯の捜査員によると、最近の遺体で、鋭利な刃物により切り離されたと思われる頭部は、周辺には見つからず、遺留物もなく、身元不明の遺体であった。遺留物が海底に沈んでいたら、見つかる宛はない。

 検視官によると、大体二十代~三十代の男性であるとの検視結果であった。警視庁及び湾岸警察署は、指紋の照合をしたが、前科者の指紋とも一致せず。最近の行方不明者届けの一覧から該当しそうな人物を当たろうということであったが、該当者はいなかった。もっと全国的に広げないと判らないと判断された。遺留品はなく、着ている衣服も特別なものでもなく、一般に広く市販されている衣服で、遺体の身元が不明では、湾岸署の捜査も取っ掛かりがなく、捜査員たちも頭を抱えることとなった。念のため、組織対策課による暴力団関係者や、組織犯罪関係者などをあたってみたが、手応えは期待できなかった。


 後は、目撃者探しなどの方に力を入れていこうということになった。しかし、東京湾の海上のことでそれも難しいだろうとのことであった。司法解剖の結果、死因は多分刺殺だろうとのことである。腹部の残った傷跡や、内蔵からナイフの刺し傷が見つかったとのことであった。更に首については、かなり鋭い刃物(と言うか、(日本刀のようだ。とのことで)一刀のもとに切り落とされている。等の事が判明した。殺人現場は、東京湾の近くではなく、全く違う場所で殺人が行われたことが解った。それは海に遺棄されたときには、随分時間が経った後だろうということである。あと、血液型はAB型であった。

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