第5話

 絶対に負けるもんかっ! ボクには、ひいじいちゃんの『勤勉学園』を零児の野郎から守るという使命がある! そう強く自分に言い聞かせ、自分を鼓舞してきたボクだったが、堕落の園での生活を強いられるようになってひと月ほど経った頃、遂に、堕ちた。


「ああ、頑張るとか、ダッセー」


 もう、何もかもがどうでもよくなってしまったのだ。『怠惰数値』を測定に来た看守ロボたちが、

「コイツハ、ナカナカ、テゴワカッタナ。ハヤイモノデ3日、ゴウジョウナモノデモ、7日モアレバ、タイテイハ、コウセイスルノニナ」

 と話しているのが聴こえてきた。

「トコロデ、”175”ハ、マダ、コウセイシナイノカ?」

「アア。マダ、ムダニ、アラガッテイルラシイ。レイジサマモ、”175”ニハ、コマリハテテイラッシャル。チカヂカ、”タイダベヤ”ニテ、アラリョウジ、サレルラシイ」

「イイキミダ」

「ザマアミロ」

 そう言って、看守ロボたちは気味悪く嗤った。


『175』

『タイダベヤ』


思考が止まったボクの頭の中で、そのふたつの言葉だけが、強烈に響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る