勤勉と怠惰の狭間で
喜島 塔
第1話
「たすけてくれー 更生施設送りだけは勘弁してくれー」
ボクは、老爺の悲痛な叫びで目覚めた。時計の針は、お昼を少し過ぎたところだった。
「ヒナタサマ、オメザメデスカ? キョウノ、スイミンジカンハ、12時間38分56秒。『新世界法 第二十二条』スイミンジカンノ、キテイヲ、クリアシマシタ」
二頭身のころんとしたフォルムの管理ロボットが、ボクの一日の記録をするために部屋に入ってきた。
「ねえ、外が騒がしいんだけど、何かあったの?」
「ハイ。ゴキンジョノ、ゴロウジン、ガ、『新世界法 第一条』ノ、キテイヲヤブリ、ソウチョウカラ、ラジオタイソウヲ、シテイタトコロヲ、パトロールロボニ、カンチサレ、ホカク、サレタヨウデス」
ボクは、まだもやもやとしている頭を抱えながらベッドから起き上がり、のそのそと窓際まで歩を進めた。思わず、アッ、という声がこぼれた。
「ミノルおじいちゃん……」
ミノルおじいちゃんは、他界したボクのひいじいちゃんの知己で、ボクのことを自分の曾孫のように可愛がってくれた大切な人だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます