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その姿で電車に乗り、窓ガラスを流れるこの世界を眺める。
もっと汚く見える世界に私は笑いを堪えるのが大変だった。
この世界はとても汚い。
こんな汚い世界に私は・・・私と妹の翔子は生まれた。
戦後、日本をリードしてきた財閥の1つである永家の家。
その永家が作ってきたこの世界は灰色でとても汚かった。
そんな汚い世界を作ってしまった永家の本家に私と妹は生まれ落ちた。
この灰色の汚い世界をカラフルな色に塗り潰せる力が私にあればよかったのに。
せめて男に生まれてきたかった。
そしたら少しは違っていたのに・・・。
親が、“家”が選んだ結婚相手ではなく、結婚相手を自分で選べたかもしれないのに・・・。
お金だって名声だってある。
そんな家の本家の長男だったら沢山の女の子達が群がってくるはずだから。
その中から1人、自分が好きな相手を選べたかもしれないのに。
お金や名声が目当てだって構わない。
自分が好きな相手と結婚がしたい。
私は好きな人と、大好きな人と、結婚がしたい。
私は、好きで好きで大好きな人と、結婚がしたい。
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