第8話 恋バナ

夏休みが開けてからしばらくは、普通に授業を受け、普通に部活をしていた。




今は部活の休憩時間。


フルート、という楽器。私は吹奏楽部に入るまで、この楽器のことをよく知らなかった。

体験入部で「横笛やりたいです」と言って先輩をポカンとさせたっけ。





そんなことを思い出していた時。





「麻陽麻陽、こっち来て」と桜が手招きする。そこにはサックスを抱えた千草も一緒に居た。



行ってみると桜が「見て、あれ。」と顔を向ける。私もそちらを向いてみると。



レイと菜々が喋っていた。

「…でさぁ…タンギングのタイミング………だよねぇ」



合奏で気づいたことを言い合っているようだった。それの何が問題なのだろう?


首を傾げて見せると、


「えっわかんないの!?」と千草にぎょっとされた。


うん。わかんない。


「あの二人、いつも距離近いからもしかして出来てるんじゃないかって話だよ。」と千草が続ける。

桜も、

「前聞いちゃったもん!菜々に好きな人がいるって!霊払った時だって菜々は真っ先にレイの心配してたもん!」




「だからだってできてるとは言えないよ。万が一菜々がレイを好きだとして、レイがどうかは分からないんでしょ?」




「まあーそっかー。」

明らかに二人が期待はずれみたいな顔をした。


「まあ応援してみるのもいいんじゃない?それより、二人はどうかね?」



「!!…」






おっとぉ??





「…私彼氏いる…」

初耳だ。桜に彼氏いたなんて。



「いつからいつから??」と私と千草が詰め寄る。



「…………来月で二周年です…」



きゃーーーーっと盛り上がっていると、うるさすぎたか、何人かがこっちを向いていた。



「しーっ。次、千草。」



「えーっとねー…秘密でーす」



「私は言ったのにずるいぞー」


「上手くいったらいうから!」


桜が不服そうな顔をしたが、諦めた様子だ。




二人がこっちを向く。私の番ってことか。




「私は好きな人居ないかなー」

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