PayPay3000
カンジ87
第1話アイラブミー
君が見えなくなるまで、僕は手を振った
見えなくなるまでずっと、君を見てた
そんな思い出
人はあるのだろうか?
僕はもう覚えてないのだけれど
でもそんな唄を、随分と過去に書いた記憶だけ残っている
あー
そして
君をを想えば、胸がちょっと痛くなる
捻れるように僕は、今を生きている
ねぇー
早く3000円頂戴!
高校出たばかりの晴美が、小生に催促メール送ってきた
あっ忘れてた
ごめんよ
すぐPayPayで送るから、待っててね
と勝鬨橋のたもと
カンコーヒ呑みながら、目を細めて携帯をみつめる
画面には愛しき我が娘、夏子が写ってる
夏子が勝手に携帯を弄り、自分の成人式の晴れ姿をぶちこんできたのだ
だから晴美にも、もちろん紹介済みだ
二十歳過ぎの娘がいる事も、8コ上の奥様もさらに、夏子の弟の猿蔵、晴美の2才上の猿蔵も携帯画面上だが紹介済みだ
出会いは
陳腐だがハンカチを拾った事
笑うだろ
ただそれだけ
晴美がハンカチ落として
それを自分が拾って、晴美が礼を言って
自分の青色のDIESELの
ナイロンパーカーを
晴美が褒めて
自分が笑って晴美も笑って
気づいたらスタバに2人いて
嘘みたいねって、2人で言って
またまた笑ってスタバの店員から
キャンペーンのお菓子とコーヒー
貰って
ついてるねって
ヤッパリ笑って
2人で外でて
そしたらやたら寒くて、冬の風を見つけて
カッコつけてたら
晴美に突然3000円って
言われたのが最初の出会いだった
小生42歳
18の時今の奥様に気に入られ
高校出て1年ですぐ、結婚して夏子が生まれた
もともと奥様は英語の教師で、3つ隣のクラスの担任
他の同級生の女達のような、色目を小生に全く使わず卒業した次の日に、
突然家の前に立っていて
告白されたのだ
その無骨さと26歳のわりには、キュートな見た目のアンバランス差に、小生も驚きとともに当時の彼女3人達に
別れを告げたのだ
皆様には申し訳ないが、小生は女性に異様にモテるのだ
それは仕方のない事実
金は裏切らないと同じぐらいの事実
小生、中肉中背、口角は悪魔のように切り上がり
目は捨てられた子猫のように
悲しげに備わっていた
髪は天然茶色くパーマで瞳は
キャラメルより甘い色をつけていた
だから奥様にもハッキリ言われた
顔が好きと
人の心は移りやすいもの
どんなにつくろつてもダメよ
ほどけちゃうもの悲しいものね
だけどあなたの顔は変わらないわ
歳をとってもきっと素敵だわ
永遠に消えない奥様からの
プロポースだった
そして
その通りになっていった
40才こしても
変わらなかった
よく20代後半とか、初見の人には言われるのだった
そして
特に女性からは
必ずと言ってもいいぐらい
2度見されるのだ
別れる時にチラッと、覗かれるように惜しまれながら見られるのだった
いい加減しろ
自慢ばかりと皆様に、怒られそうなので自己紹介はここらで終わりにしよう
あ
あっ
あと最後にもうひとつだけ
皆様にも哲学的ある、1つの光差し込む幸せ舞い込む事
祈って言わせて貰いたい
それは
人は安心してると、大胆になるってこと
だからいつも人を、安心させて優しい
気持ちで生きていきましょう
なに?どういうこと?
そう思う人中心に最後の小生の自己紹介、
よく日曜日とかにですね
奥様とショッピングセンターとか
行くのです、小生
そしてZARAとかUNIQLOとか、行くのです小生
そして毎度ながら思うのです
痛いほどの店員の視線と、すれ違う女性の視線を!、、
奥様と2人でいるから
女性達も安心しきってる
可愛いキャラメル瞳の、捨て猫が見たいのでしょ
ところが小生が1人で、歩いてたりすると女性達も用心するのです
捨て猫がやわでなく、野良猫みたいに噛みつかれそうー
キャー怖い!
助けてー
なんてね
言い過ぎましたが
それぐらいの
差はあるのかとおもいます
人を安心させるって、大切って講釈ご清聴ありがどうございます
では
話を3000円ストーリーに、もどしましょー
晴美との約束となった
会うたび
別れる時には3000円あげる約束
人は約束と書いて、裏切りと呼ぶのだが
映画館の時も海へのドライブの日も
セックスだけのホテルの日も
ただ抱きしめあって
キスだけの日も変わらず、晴美に3000円PayPayで送る約束を、あの日あの時あの場所スターバックスの外で
交わしたのだった
お兄さん凄く悲しい目をしてるね
私がこれから慰めてあげるね
誰にも内緒よ
だから3000円ちょうだいね
彼女いるの?指を絡めながら晴美が微笑んでる
いや彼女はいないよ
と、絶望を舐めるように唇を濡らして僕は言った
でもね君と同年代の娘と息子さ
更にその母つまりはぼくに奥様がいるよ
へー連れ子なのね
大変ね
いや僕の実子だよ多分
ホント?
あーハイ
ウソー
いや多分!そだよ、
なにーそれお兄さん何歳の時の子供?
19才だよー
うー
うそー
お兄さん40歳越えてるの?
まぁね
キッスを大空にばらまくように
僕は答える
なんだー
なら5000円ね
会うたび5000円よ
ダメだよー大空のキッスを、かき集めはじめる
だいたい僕は月に10万円の収入だよ
なにそれー
なんの仕事?
何したら月に10万しか貰えない仕事出きるの?
私だって居酒屋で、バイト大学行きながらだけど手取り13万はあるわー
週に3回交通整理の仕事だよ
キッスを完全に終い、ゆっくりと答える
ほら!君のハンカチ見つけたあの通りね
あー四つ目通り!
そう錦糸町の高速下の工事の警備だったんだよ
あーそうなんだーと晴美は、小生の終い込んだ胸ボケットのキッスを見てる
だいたい僕は君の慰めを、欲してる訳ではないよ
昨日も明日も僕は慰められるよ
美容院でも病院でも、コンビニでも7割の確率で相手が、女性だった場合慰められるよ
もちろん僕も慰めてあげれるしね
なら3000円でもいいわ!
これからイッバイ会ってあげるね
夢を見るように私を
忘れても構わないから
イッバイあたしに会ってね
ぐいぐい来る女性は、小生嫌いではない
もともと奥様も艶やかなりし心で
突然卒業式の次の日に現れた
本来、捨て猫性分なのだ
愛されたいのだ
今にも泣きそうな君がいたら
そこに行って大丈夫だよ
心配しないでと僕は、言うのだろう
守ってあげるとか、そんなことは思ったり言ったりはしない
大丈夫だよ
とだけ
月の欠片になって言うだけの
人間なのだ
人に好かれたい
あーそんな欠落感で、人は人としての存在意識確立させていくと、何かの哲学書で読んだ
その通りだと思う
相手に不快を与えない空間
老若男女
今際の際になってでも、美しく好かれたいのだと思う
それが生きるポジティブ活力だ!
あー皆様は思うだろう
月収10万の40過ぎの人間の言葉ではない
でも小生
その通りだと思うし思わないのだ
これは汚い裸のエロネガ女の写真みたいな問題だ
ネガティブな人には
反転しても綺麗には、ならない妄想なのだ
あーそして脳が焦げそうな、今年の夏がそろそろ老若男女誰にも
平等に終わりを、告げようとしていた
あー
若い晴美にぐいぐいに、飲み込まれた季節を幾度となく、そして数えながら小休止してる今日の日この頃の小生だ
今日は勝鬨橋の手前、聖路加病院へと向かう道の工事の警備だった
現場の10歳は下の監督から
缶コーヒーを恵まれ、小休止してたら晴美からの催促にまた、晴美を想うのだった
晴海通りを勝鬨橋手前左に、曲がったところ工事小休止して、晴美を想うのだった
奥様を愛おしみ、晴美も愛おしく想う器用なくず男だ
奥様は50才、今では高校の教頭だ
人望も深く小綺麗な服装、目立たぬブランド差し込むいでたちで、クールに過ごしてる
何かの行事の時には
必ずハーゲンダッツを先生達の分
更には、都からの派遣の人達の分も(都立高校)差し入れる気のつかいよう
周りからは多分パワーカップルと
思われてるだろう(小生クズ男です、ご免なさい)
とにかく出来た人間だ
奥様は
今の現代社会の女性達の鏡なのだ
そして心は純粋に、美をモットーとする愛好家だ
小生だけを愛する愛好家だ
あの艶やかなりし卒業式の次の日の、
告白も
貯金と年収をそっと我心に囁く、戦略的愛好家だ
世渡りの苦手な頭脳と、顔だけの小生を高校生の時から見抜き、骨抜きにしていく戦略的、美の愛好家だ
好きな時
好きな場所で
好きな歌を書き
息詰まったなら
小説を書きなさい
あなたの抜群の記憶力と、洞察力はスバ抜けてるからと
小説に向いてると、褒められたのだった
結果その通りなっていった
先ほどのその通りと、同じく()若いままの小生()奥様は預言者でもあるのである()
気づいたら歌を書くよりも、小説ばかり書いていた
もちろん小説は誰に売れる訳もなく
奥様だけのクズ男と育っていった
そしてそれに反して
とにかく自分に自信しかない、奥様は小生の顔以外期待せず、己の出世への道を自他と共に切り開かれてくのだった
そう
そして預言者は、それに己の出世を嫉妬する事ないクズ小生さえも、を見抜いていた
嫉妬とは、己れの向上心とコンプレックスとの儚き戦いなのだ
誰とも何とも戦わない人間は
社会的国家的、さらには町内会でもいらない存在だ
だがしかし
才能溢れる努力家で、愛しき戦略家にとっては、戦わない存在とは好ましい事この上ない愛すべき存在なのだ
だから
ずっと愛された
愛されたい欠落感を
奥様はいつまでも満たしてくれた
ただアホで戦わないのでないところが
また奥様の心を擽った
胸をうなじを声さえをもくすぐった
書いた歌を読み小説を口ずさみ
山下達郎の()ひととき()を奥様はiPhoneから良くかけていた
小生もいつの間にか()ひととき()を
よく唄うやうになってた
巻き上げた髪がとてもよく似合う
それだけで優しい気持になれる
ずっとそばにいてくれるなら
何もいらない ほんとさ
紛れ込む天使の音に
時間も風も止まって
愛しているよ
君だけ
そう天使の音は
20年を越えてずっとなっていた
晴美に会うまでは
晴美に出会うまでは、小生は家族だけを愛していた
全く女性を見つめさせるだけで、口説かなかった
中学、高校いや小学生の頃から
色んなタイプの女性と、付き合った経験を活かして
先ほどの登場した、病院や美容院そしてコンビニの女性達と、すこしの会話で小説のドラマのようにセリフが、思いついて仮想恋愛出来てしまうのだった
だから浮気は仮想で家族だけを愛した
晴美に会うまでは
晴美に会うときも
クズ男は山下達郎のひとときをかけた
大胆なクズ男はなにも怖くなかった
奥様と晴美を上手に手の平で重ねた
間違えて呼ぶこともなく、2人を器用に愛した
晴美はすこし髪をbrownに染めた
巻き上げた髪が、もっと似合っていった
見てるだけで涙が溢れた
気づかれるように、涙を拭いた
しかも器用な事に片方の目で泣いた
だからバレなかった
そして2人で思い切り遊んだ
真夜中のプールにも飛び込み
晴美の身体は、濡れたまんま
乾くまもなかった
晴美は過去の彼の話も、今の彼の話もいろいろ聞かせてくれた
過去の変態彼氏は、晴美の胸を晴美自身で揉ませ、それを見ながら変態自身の手の平でイキ
今の変態彼氏は
大きな晴美の胸の重さを、手の平で図り挟んでイクとのことだった
小生はそのどちらでもなく、そのどちらかを想像しながら天使のように晴美の胸にキッスするのだった
多分小生が1番の変態なのかもしれない
ただ泣けてくるほど、晴美を見つめてるのだから涙のキッスだった
あー涙と変態は紙一重なのだろう
あ
また
晴美からメールが入った
3000円サンキュ!勝鬨橋の仕事いつまで?
こっちはバイトもないし会いたいなー
ねぇ、会おうよー
門前仲町
トリュフベーカリー本店行きたいなー
勝鬨橋から近くじゃんー
……
相変わらず
一方的な
メールだ
でも…可愛い
行きたい
10万円クズ男から集る愛しき人よ
会いたいよ
当方暑く警備で汗まみれら、塩分も足りてないのよ
ほんとは清住通りの弁慶(ラーメン屋)行きたいのよ
こんな切ないショッパイ気持ちは、何年ぶりなのよ
君が夢見るように僕を、忘れてしまっても僕は夢のように、君に会いたいのよ
そして晴美に返信する
ごめんよ
今日は疲れて昨夜も寝てないんだよね
また近々会おうね
1人で弁慶に行く時々不器用な
クズ男だった
クズ男は全く家にお金を入れなかった
家賃も光熱費も食費も、子供達の大学までの教育費もすべて奥様のパワーで、費やした
年一回の海外旅行も奥様のエネルギーだった
掃除も洗濯も料理も全て、奥様の愛情でクズ男は何もしなかった
そして漫画もゲームもYouTubeもクズ男は見なかった
ただ
抜群の記憶力と洞察力は、芸術性よりも安直に役に立った
奥様の貯金を、株と債権とファンドで増やしまくったのだった
過去のチャートの動きと、株の連動性とを上手く組み合わせ増やしまくった
でもクズ男は創作活動に、脳みそを支配されてるのでロボットのように、週3の交通整理をやめなかったし、晴美にも3000円しか会うたび払わなかった
ぶれない奢らないクズ男だった
だけど毎年奥様と夏子と猿蔵にクリスマスには銘々に5万円プレゼントするようになった
これは死ぬまであげると約束するクズ男だった
自分が死んでから、相続であげるよりも毎年この先死ぬまで、毎年変わらない喜びを多少なりのささやかさを、プレゼントしたかった
センチなクズ男でもあったのだ
あの清澄通りの味噌こってりラーメン食した弁慶から4日後の日曜日
晴美と丸の内トキアでデートをした
となりの丸の内キッテビルの無印のバイト仲間の関西人に、教えてもらったインディアンカレーに行きたいとのこと
甘く辛く病み付きになるとのこと
確かに関西は、日本全国的一線を画したエリアだった
もともと日本の成長文化も、関西からだし
いろいろな産業は西からだった
だから日本国的、心の柔なナイーブ マンは関西を嫌った
そう嫉妬というやつである
京都の西賀茂にできた「ジャーニー」という喫茶店の良さが分かれば、関西に嫉妬など出来ようか?
多くの男たちをわきたたせる、ジャニーの馬鹿馬鹿しさを知ってほしい
ウェイトレスは異常に短いスカートで
パンストだけでパンツは、はかないのだ
そうノーパン喫茶の誕生だった
そんな馬鹿げた事も、やはり西からだった
小生は関西がもちろん大好きなのである
そして奥様も小生に習うように関西を好きでいた
そして何度も食べたインディアンカレーを笑いながら晴美と食べた
わざと膝を太ももを晴美にくっつけて食べた
温もりが膝から腹を伝い心臓に伝わった
窓の向こうには、奥様と時折行くスペイン料理屋が見えてる
でも見えないふりをした
赤と黄色の国旗の旗も揺れてる
空調のせいなのか旗が揺れてる
見えないふりをする小生に、旗はずっと揺れていた
そして2人は手をつなぎ丸の内中通りを歩いた
新丸ビルの人気立呑屋で、ワインを欲したい晴美だった
いつでもぐいぐいリードする晴美
そうそれは小生の人生を、上手にコントロールする奥様とはかなり似てるようで全くちがった
奥様は月のような柔らかい輝きを放ち
小生の月の欠片を照らした
晴美は灼熱の太陽のすこし前の濡れた太陽だった
小生はそのはざまで溺れたかったのだ
ナチュラルローソンで焼酎を買ってしゃぶりつくやうに、呑んで仲通りを歩いた
3時間後、奥様と大手町パレスホテルでディナーなのに酔っぱらい晴美と歩いた
酔いながら舞い上がる蜃気楼を見た
屈折した光りは新丸ビルを斜めに歪ませる
月と太陽の温度差なのかヨッテルダケナノか、蜃気楼が斜めに強く舞い上がった
晴美お気に入り立呑屋で座って飲んだ
さっきよりもっとヒッツイテ2人はワインを飲んだ
ロゼと赤を明美は更にカウンターの
お兄さんに注文した
チーズに合うワインとロゼとの違いについて晴美は淡々と語っていた
小生はまっすぐな目で晴美を見つめて頷きながら太陽と月に都合の合う嘘を 考えていた
もともと高校生の時にもイヴとクリスマスの日をまたいで、3人の彼女達と時間差ずらして巧く遣り過ごした記憶がそうさせた
私さー
オッチヤン(小生のあだ名兄さんから出世して?今はオッチヤン)1人にしようかなー
今の彼もなんだかアイラブミーなことばかり言うしなー
突然の晴美の告白だ
胸毛も濃いし手もこち亀の両さんみたいに濃いしアイラブミーだしー
今日はアイラブミー推しの晴美だ
多分斉藤和義の楽曲アイラブミー聴いたのだろう
若さはいいものさ
歌にドラマに友になにかしら心は揺れ影響うけて
若さは捨てちゃあいけないよ
斉藤和義I Love Meのある部分なんだなー
この星は I Love Me
誰も皆I Love Me
潜めてる I Love Me
君もまだ I Love Me
知ってるよ I Love Me
哀しみの I Love Me
誰よりも I Love Me
その次がI Love You
あーそう言ってやるなよー
毛が濃いのは、温厚深くいい男の証だよ
でもオッチヤン腕も脛も胸も、ツルツルじゃん
髪も地毛で茶色いし髪も天然ウェーブで
目の色も焦げ茶でカッコいいじゃん
別に冷たそうでもないし
けど俺はセックスはアイラブミー
たいしたことなにも、君にしてやれない
指で君のソケット触れないし
キスだって出来ない
ごめんよ
こんな性癖
もううんざり
気にしないでー
食いぎみで晴美が
私が食いしん坊ちび女で、ないのだから
気にしないでーと微笑む
先ほどのワインうんちくもそうだが晴美は片寄った思想の持ち主で、モデルのようなスラッとした哲学者もどきの美人さんなのだ
男は小さな女で皆好きと思い込み
ちび女が嫌いなのである
食いしん坊なチビ女は濃厚セックス狂乱者と思んこんでるのだ
確かに晴美は淡白だ
セックスはアイラブユーで
尽くしてくれる
胸の重さを図ったり挟んだり小生は決してしないし
相性はきっといいのだろう
ちょっと、トイレ行って来ると酔ったせいか立ち眩み晴美の肩を、掴み巻き揚げた髪に頬をよせた
天使の時が突然訪れた
時間も風もとまった
トイレに行き唾をすこし吐いて
そのついでに軽く嘔吐する
奥様のため
軽く嘔吐する
パレスホテルディナー愛しき奥様の為
嘔吐する
君のためなら死ねるさ
きっと
尾崎豊の詞を思い出した
愛こそ全てだと俺は信じてる
豊は唄っていた
酔いどれドランキー豊が見たのはやはり夢だったのか?
吐きながら
泣いた
酔いどれのせいにして、晴美とはトイレのあとすぐ別れた
晴美は何階か下のDIESELに、欲しい秋物のジャケットがあると足早に去っていく
早歩き晴美の後ろ姿に括れた腰つきに
また見惚れてよろけてこけて、間抜けな42歳だ
あーホント
ゴメンなさい
そしてつまづいて見た少し先
婦人服があり猿のような、縮こまった老女がこちらを見てる
酔ったせいにして合わした目を離さず少しだけ手を振る
老女が笑う
小生も笑う
ほんの一瞬のこと老女が美しき晴美に重なる
こんなにルックス違うのに重なる
あーなぜだ
あー
猿蔵が言っていた事を思い出した
大学の授業なのか
いやあれはたしか猿蔵の愛読、ホモサピエンスの歴史書の1フレーズだ
人はアフリカンから始まり獲物をさがして移り行く狩猟民族、そしてそこに留まる自給自足の農耕民族へと発展していったと
そして女は男の所有物だったと難しい悲しい顔して言った
更に猿蔵が言う
老人を猿みたいと馬鹿にしちゃいけだめだよ
猿みたいに生まれてまた猿に戻るだけで
今の俺や親父みたいな状態が可笑しな形態なんだよ
そうか
夢のようなものだな
若さよ
突っ走れ
狂気が発火する
今日も何処かの海の向こうでは
狂気が発火している
愛しさの意味をはき違える
アイラブミーが膨大していく
若さよ
見てくれ
俺も今だって走る
もともとのろまだったので
さほど昔と今も変わらない
スピードで走ってる
あー
俺は愛のために走ってる
バレスホテルへと走る
15分奥様との定刻から遅れのため
汗だくで走ってる
突然
TELがはいった
何してるのーあなた
昼から当然とびたして私との約束忘れたの?反抗期?
今どこ?
大手町だよ
私も大手町よ
ボケてるの?
走ってるよ
永代橋通りをもうすぐ日比谷通り越えるよ
あと5分だよ
1階のレストランよ
待ってるわよ
間違えないでよ、、
あとチョコレートパフェね
え、、、
罰金よ
遅刻と反抗期の
あのボッタクリパフェ?
変な言い方やめて!
ホテルよ
正当価格だわ
でも2500円は高すぎだよ
サービス料金に消費税乗せりゃもう3000円超えるよ
3000円ありゃもっと素敵な事出来るとおもうよ
なによ
そのいやらしい言い方
あなたパフェも奢れないの?
3000円ぐらい
どんと払いなさいよ
はい…払います
ごめんなさい
とにかく急ぐね
とTEL即ぎりして
携帯画面を切り替え
悩ましげな腰つきの晴美にPayPayで
3000円送る
奥様にも3000円送る
間違えずに送る
ごめんー
待ったー
と
昔の田原俊彦の馬鹿っぼさ
真似してレストラン奥入ったら
奥様
高かーあぁいワイン開けて呑んでそっぽ向いてる
堪え切れずこちらから指を絡め奥様に眼を合わせ再度田原俊彦で謝る
やっと奥様笑う
昼間の反抗期の理由も遅刻のわけも聞かない
だから
小生も言わない
災いは口より出でて身を破る
日蓮聖人のお言葉だ
それに基本小生は無口なのだ
群れもしないし
照れ屋でもないし
大胆な助平野郎なだけだった
隣の席では外資系企業の若者達がコンパ中で楽しげ様子だ
やはり向こうの女子の1人が、小生に気づきチラチラ小生を意識し始める
若い頃は、その世代の女子か
遥か上ののおばあちゃん世代からの視線だけだったが
40歳超えた頃からか、ほとんどの世代からの視線を貰う様になってた
何人かいる仲間の欧米人に合わせてか?自分の器に酔ってか?大手町の外資系企業若者達は身振り手振りが、大袈裟になり英語のアクセントも雑になってくようだ
妻が少々イラついてるのが分かる
他人の大声は時に人に嫌なものだ
天は二物を与えずの彼達だよ
気にするなよ!可愛い君よ
と言った瞬間
奥様があの子よ
さっきからあなたばかり見てるわよ
ほらBURBERRYシャツのあの娘よ
きやすく見つめたりしないで
なんだーそれかい!
しかし
相変わらず乙女な奥様だ
過去結婚した当初
当時付き合ってた3人の内の1人からTEL来ただけで号泣したのを思い出した
もともと自分が奪っといて号泣した
いや奪ったから、号泣したのかもしれない
未だわからない謎だ
誰にも話したことのない秘め事
永遠にそのわけを知ることは
小生にはないのだろう
あまり隣テーブルなど、もう見つめないようにしてたら
スペアリブと、たらば蟹パスタと次々運ばれてくる
基本小生は
相手任せなのだ
だから新丸ビル立呑屋と、ここで2回目のたらパだ(たらば蟹パスタ)
たらパは流行ってるし想定内だ
胃袋も整理したしワインとピスタチオをメインにたまに、スペアリブをかじろう
あー
しかし幸せな顔して食べるなー
食べてる顔も可愛いいなー
やはり奥様可愛いなー
幸せそうな顔っていいよなー
見てたら
やべー
また
泣きそうなってきたな
晴美の巻き上げた髪に泣いて
嫁の笑顔に泣けて
やべーなー
涙腺
やべーなー
20年可愛いいんだからこの先もきっと
可愛く思えるよなー
やべーなー
でも晴美の悩ましい腰つき
あー
最高だよなー
やべーなー
胸騒ぎの腰つきなんて唄
たしかあったよなー
オレのエロスは間違いなく晴美だけを愛してる💓♥️❤️んだよなー
やべーなー
でも晴美の幸せそうな顔見ても泣けても来ないしなー
ましてや嫁さんの巻き上げた髪なんてなー
などなど不埒な事ばかり張り巡らせる小生だった
もちろん
奥様の眼をまっすぐ見つめて
時々相槌をうって奥様の目を
まっすぐ愛して見つめて…
不埒な小生であった
帰りは電車で帰った
そう偶然亀戸駅で、猿蔵と会った
この東京なかなか知り合いと合うなんてないのにすごいタイミングだ
どこ行ってたの?
小生には聞かなかったのに奥様
猿蔵には聞いた?
ドキッとするぜ!
いやー
市川のじいちゃんに、呼ばれたんだよ
前に遊びに行ったとき忘れたサングラスとりに来なさい
言われてさー
最近
我母が痴呆症入ってきて、病院検査したり薬貰ったりで大変だったのだ
で、夏子と猿蔵にはおばあちゃんは、子供に戻ってゆくだけだからね
驚かないでね
優しくしてね
夏子は果汁ジュースを送ってあげてね
猿蔵は得意の絵を描いて、送ってあげてね
お願いしたところだった
親父ー
すげーおもしろいんだぜー
市川いったらさー
おじいちゃん、玄関でさー待っててさー
中に入れと、嬉しそうに手招きするだよ
そしてさー
部屋に入ったらさー
机の上にポツンとサングラスと1万円札乗せてんの!
で俺にどうぞって
にっこり笑うんだよ
ラッキーだったよ
忘れ物とりに行って1万貰えるなんて
ラッキーだった
で1時間ほどいろいろ大学の話とか英検順1級の話とかしてさー
帰るときに
ばぁちゃんがさー玄関まで送りに出て来たの
でさー
ずっとばぁちゃんさー
俺を見てるの
おかしくなってさ
俺、バス停までの道
何度も振り返ったの
そしたらさ
ばぁちゃん
何度も手を振るの
俺が少し歩いて
もういないかなー
って後ろ振り返るって見ると
まだいるの
ずっとこっち見て
手をふるの
ばぁちゃんホントに子供に戻っていくんだね
とても可愛かったよ
ホントに可愛かったなー
親父にも同じことするのかなー
いやー
しないよなー
きっと
ばぁちゃんはしないぜ!
親父は、ばぁちゃんの
可愛い子供なんだから
オレの事は忘れても
親父のことは
…きっときっと
忘れないぜ
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