12/28 【書く】『日常キリトリ線』より「第138話 さいわいなことり・中」


・『日常キリトリ線』より「第138話 さいわいなことり・中」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881796766/episodes/16817330669108485150


 イギリスの森の中で暮らす画家の老人は、飼っていたセキセイインコを外へ逃がしてしまい、深く悲しんでいた。 そんな中、インコが十歳の少年の姿になって、彼の前に現れる……。

 私自身が主催者の自主企画「同題異話」の九月号の参加作品。よって、こちらをアップしたのは、二〇一八年。


 今更だけど、同題異話についての話。私がこれまで主催者として、毎月新しいタイトルを提供する「同題異話」という自主企画を、二〇一八年と二〇二二年の二回、行っている。

 そして、「さいわいなことり」というタイトルを提供したのが、二〇一八年の九月……つまり、初めて同題異話を主催してからのちょうど中間地点だった。


 四月に「春はまだ青いか」というタイトルで同題異話をお試しでやった時に、十作品以上の参加作が集まったので、毎月開催を宣言した。後々に慌てないよう、先に全ての月のタイトルを考えていこうとしたのだが、九月はかなり悩んでつけたタイトルだった。

 例えば、六月だったら「飴と傘」、十月だったら「モンスターに乾杯!」のように、季節感やイベントをイメージしたタイトルを考えていったのだが、九月は思いつかない。とっかかりがない。そこで、ネットの季語の一覧を頼ることにした。


 それを見ながら、動物の名前が出ているタイトルがないなぁと思ったので、季語になっている動物から、タイトルとして使えそうなのを探した。「鹿」「猪」「蜻蛉とんぼ」もう候補だったが、一番ピンと来たのが、「小鳥」だった。

 その小鳥にくっつけるのは何の単語にしようかとも悩んだ。形容動詞がないなぁと思ったので、「小鳥」に合うかもしれない形容動詞として、「密やかな」「たおやかな」なども候補だったが、広がりが出そうな「幸いな」にした。


 タイトルの全てがひらがなになったのは、他の月のタイトルに「薔薇」「憂鬱」「刹那」「漣」などなど、難しい漢字を使いまくっていたから、その反動で、ひらがなになってしまった。意外とこれが功を奏し、「ことり」を「子取り」という文字を当てたり、「さいわないことに」とかけてみたりと、主催者も予想していなかった言葉遊びが出てきて、参加作品を読むのが楽しかった。

 同題異話タイトルは、曖昧な部分をあえて作ることで、自由度を上げることが出来るのだと思う。見た者の想像力にあえて委ねる。それが、創作者の大切な心構えでもある。





















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