モブに転生したので普通に生きます

けんはる

第1話

目を開けると知らない天井が目に映った

(あれ?たしか車に跳ねられて死んだ筈だよね?)

私は起き上がり周りを見渡すが見たことのない部屋だった

(私の部屋じゃないよね?)

私はベッドから降りて

部屋の中を歩いていると

姿見に黒髪の地味な女の子が写っていた

「私だ、てことはここは私の部屋?」

私は壁にかかっていた制服の胸ポケットから生徒手帳を取り

表紙には

御伽学園おとぎがくえん》と書かれていた

(御伽学園?私の通ってる高校じゃないけど何処かで聞いたような?)

中身を見てみると

私の顔写真があり

1年C組

天使あまつか つばさと書かれていた

(名前と写真はあっている、どういうこと?)

混乱していると

トントンと扉が叩かれて

「翼ちゃん、入るわよ」

かわいらしい女性が入ってきて

「あら、翼ちゃん起きていたのね、ご飯できてるから着替えて早く降りてきなさい」

そういうと女性は部屋を出ていった

(今の女の人は誰?)

机の上に置かれている写真立てが目にはいり

近付いて

手にとって見てみると

制服の私と先程の女性とスーツを着た渋めの男性が写っていた

(もしかして、私の両親!?いや有り得ない、言っちゃなんだけど私のお母さんはこんなかわいくないし、父さんもこんなイケオジじゃない、もしかして夢でも見てるの?)

頬っぺたつねると痛みが走った

「夢じゃない、とにかく着替えて降りてみよう」

私は制服に着替えて

鞄を持って部屋を出た

一階に降りるとダイニングらしき扉の前に立ち

1度深呼吸をしてから

扉を開けると

お母さん?が朝ごはんを机に並べていて

お父さん?は新聞を読んでいた

私は覚悟を決めて

「おはよう、お母さん、お父さん」

お母さんはこちらを見て

「おはよう、翼ちゃん、今日は翼ちゃんの好きなフレンチトーストよ、早く座って」

「うん」

私は席に着くと

前に座って居るお父さんが新聞を折り畳み

机の上に置き

微笑みながら

「おはよう、翼」

(絶対に私の両親じゃない、だっていつも朝ごはんは前の日の晩ごはんの残りでフレンチトーストなんて洒落たもんなんてお母さんが作る筈ないし、お父さんも朝から新聞なんて読まないし、しかもよく見たら英字新聞だし、読んだとしてもスポーツ新聞だよ)

私が心の中でパニクってると

「どうしたの?翼ちゃん、もしかしてフレンチトースト嫌だった?」

お母さんが悲しそうな顔で聞いてきたので

「そんなことないよ、いただきまーす」

一口食べ

「美味しい」

あまりの美味しさに声が漏れてしまい

その言葉を聞いたお母さんは

嬉しそうな顔をして

「本当に?もっと作ろうか?」

「ううん、これだけでお腹いっぱいだから大丈夫」

「そう、なら良いけど」

「よかったな、母さん、翼が喜んでくれて」

「えぇ嬉しいわ、お父さん」

両親は見つめあいながら甘ったる雰囲気を感じたので

急いでフレンチトースト口に入れ

牛乳で流し込んだ

「ごちそうさまでした、じゃあ行くね」

鞄を手に取り

急いで玄関へと向かい

靴を履いていると

「翼ちゃん、忘れ物よ」

振り替えるとお弁当を持ったお母さんが立っていて

「はい、お弁当」

お弁当を受け取り

鞄へとしまい

「ありがとう、それじゃあ行ってくるね」

「行ってらっしゃい、翼ちゃん」

家を出た私は心の中で叫んだ

(なんで美男美女の間に私みたいな地味女が産まれるの?)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る