第5話

カサカサ。カサカサ。


乾いた葉が落ちる。

体液がゆっくりと太い枝を垂れていく。


レイアは口を押さえ、声を我慢していた。普段は見せないその必死な顔が更に俺を興奮させた。腰の動きが加速する。


「や……いっ……海人…」


「レイア……」


もしかして、今までもレイアはこうやってたくさんの、俺みたいな男をその体で魅了し、ダメにしてきたんじゃないか?


しかも飽きたら、最後は殺す………。


そういえば、カマキリのメスは交尾中にオスを食い殺すことがあるらしい。


俺も殺されるのかな………。


「海人?」


「ぁ……ごめん…」


「謝らなくて大丈夫だよ。続きは今度ね」


優しく頭を撫でられた。

服装を整え、誰もいないことを確認した後、俺達は公園を出た。まだ変身時間はあるし、蓮司や咲希がいるアパートには戻れない。


う~ん……どこで時間潰そうかな?



「海人はさ、私が恐い?」


少し前を歩いていたレイアが、突然立ち止まる。


「………恐くないです。あの、ニュースで言っていたことがすべて真実とは限らないし……それに…普段のレイアさんは優しくて、そんな凶悪犯には見えないし……だから……」


「………………」


駆け寄ってきた彼女にキスされた。


「嘘つきだね、海人は。でも…ありがとう」


どうしてそんな悲しそうな顔するんだよ。


もっとさ、凶悪犯らしくしてくれよ!!


人殺しなんだろ。


そうしてくれないと俺はーー。


どうして。


どうして。



「どうして……」



【 アナタは、人を殺すんですか? 】




「海人…痛いよ…」


分からないよ、俺には。


………分かりたくもない。


「レイア」


「こんなにアナタを苦しませてごめんなさい。恩返しなんてしなければ良かったね」


「ちがうって!! 俺は苦しんでないから。こうしてレイアと一緒にいるの嫌じゃないし。だから……そんなこと言うなよ」


俺は、レイアを抱き締めた。その細い体が壊れてしまうんじゃないかと思うほど、強く。


強くーーー。


離したくない。


「ありがとう……嬉しいな…」


この涙は、演技じゃないって信じてるからな!!!



俺は、この夜。レイアと同棲生活することを正式に決めた。


もしレイアが警察に捕まったら、俺も捕まるだろう。


それでも一緒にいよう。



俺はキミのことが、大好きだからーーー


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る