星空プロダクション(3)



 星空プロダクション。そのスカウトの人の話をカロナは聞いてみることにした。

 メールを出したところ、あれよあれよと実際にBCD上で会ってみようという話になった。


 知らない人をホームおうちに招くのも怖いので、カロナは星空プロダクションの企業ホームへと出向くことにした。どうせ交通費も移動時間もかからない、この辺はデジタルなVRならではの利点だ。


「初めまして! 星空プロダクション代表、星空アカリです!」

「星空プロダクション所属、ユキ・スターダストです」

「星空プロダクション所属、ソラ・ムーンライトです」


 と、早速星空プロダクション所属のB-Casterであり、代表である3人に出くわした。……が! こんなこともあろうかとカロナもコクヨウとセバスを連れている。数の上では互角である!


「竜胆寺カロナですわ。こちらはメイドのコクヨウと、執事のセバスですの」


 ぺこりと頭を下げるコクヨウとセバス。


「マネージャーAIのホシです。よろしくお願いします」


 だが相手にも秘書AIがいた! これによりカロナは数的には劣勢に陥る。さすが企業勢、恐るべし人材の厚さ……!!


「これが現在の星空プロダクションの全員です……」


 星空アカリが肩を落としながら言う。

 ……これで全員? これで!? とカロナは驚く。だって3人だけ、秘書AIを含めても4人なのだ。ダンジョンブレイバーとほぼ変わりがないではないか。

 いや、むしろダンジョンブレイバーは最近ギルド長AI(渋いおじ様)を導入したのでむしろダンジョンブレイバーの方が多い。


「竜胆寺カロナさん。この度は私達の話を聞いてくださるとのことで、ありがとうございます」

「ええ、まぁ、その。スカウトされたのは初めてだったので……ですがその……零細という噂は聞いていましたが……4人、ですの?」

「い、一応企業として登録されている分、優遇措置とかがありますから!」


 個人勢とは異なり、BCDでは企業勢にはいくつか利点がある。

 まず補助金が出る。ダンジョン攻略は国が推進している事業であるため、少額ではあるが補助金が出るのだ。

 次に、企業勢でなければ使えない政府お抱えの工房がある。かなりの腕前の生産職が所属していて、強力な装備を扱えるとか。一応個人勢でも利用できないわけではない、のだが、よほどの大物配信者でなければ断られる。


「そしてなにより……知名度があります。言っては何ですが、私たち星空プロダクションは以前社長がマネージャーと会社の金を持ち逃げした、という炎上案件がありました。……おかげで、私達のチャンネル登録者数はそれぞれ2万程、星空プロダクション公式チャンネルは登録者数12万人となっています」

「まんッ!?」


 零細零細とどこかバカにしてしまっていたが、いまだチャンネル登録者数2500人程度のカロナにとって、万の大台はまだまだ先の夢だった。


「おかげでギリギリですが企業勢としての面目を保てている、といったところですね。最近までは本当にギリギリでしたが、秘書AIのおかげで新マネージャーが――そう、社長と不倫しない、会社の金を使い込まない、なにより私達を裏切らって逃げない! そんな理想のマネージャーが生まれ、多少余裕ができまして」

「えっと。それオフとはいえ言って大丈夫な話ですの??」

「大丈夫です。知ってる人は知ってるレベルの話なので……それで、今回新人として、何人か新メンバーを追加しようと思いまして!」


 曰く他にも声をかけており、これで3、4人程集まってくれれば、星空プロダクション第2パーティーとして別枠活動してもらおうと思っている、とのこと。

 1、2人のみの場合は現在の星空プロダクションパーティーに組み込む形になるらしい。


 カロナは、入るなら絶対3人以上集まって欲しいと思った。

 目の前の3人はどうもリアルで面識があるらしく、新人が割り込んでいくには厳しそうだったので。



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