ゲーム配信、メイドを添えて。
「こんカロナ~! いつかお嬢様になりたい系B-Caster、
”今日はゲーム配信かー、楽しみ”
”サムネから来ました。AIメイドさんと対戦と聞いて”
”ま、たまにはね。毎日ダンジョン潜ってもマンネリだし”
”こんカロナー。コクヨウさんもこんカロナー……でいいのか?”
「こんカロナ。チャンネルの挨拶なので、お嬢様の名前を冠して問題ありません」
「さて! そんなわけで今日は対戦ゲームをやっていこうとおもいますわ! 対象のゲームはレトロゲームアーカイブより――こちら! スーパー爆弾マン3ですわー!!」
と、爆弾で戦う有名シリーズの3作目を持ち出した。
正確に言えばスーパーの付かない初代があるが、それはノーカン。
”ほう。スーパー爆弾マン3ですか……懐かしい”
”しかしこの対戦ゲー、ストーリーはともかく対戦だとCPUがあるよな? AIメイドさん使う意味あんの?”
”あるだろ”
”ある”
”メイドさんが爆弾マンやるのが重要なんだろうがよ!!”
「ふむ。確かにAIメイドたるわたしが、CPUに代わる理由は、一見ないかもしれません」
コメントを見て、コクヨウが言う。
「ですが! 私であればお嬢様のプレイスキルに合わせて随時難易度をかえることができるのです!! たとえば接待プレイ、そういう調整はCPUにはできないでしょう?」
”た、確かに!”
”メイドさんに接待プレイしてもらうとかいくら払えばいいんですかね”
”↑5万500円だぞ(AI秘書代+レトロゲームアーカイブ代)”
”↑おっと、BCDをプレイできるVRヘッドセットも忘れるなよ”
”これがガチだからいい時代になったもんだよな……”
攻撃的なコメントを正面から論破し、ふんすと得意げなコクヨウ。猫耳が得意げにぴくぴく動いた。
「フッ。コクヨウ? この私に手加減など不要ですわよ?」
「おや。わたしが本気を出すとお嬢様フルボッコですがよろしいので?」
「知ってますわよ……AIメイドは、ゲームの学習データが皆無であると! おーっほっほっほ! ミカドお姉様のゲーム配信でメイドさん達がマリモカートしているのを見て知っているのですわ!」
”ああ、そういやミカド様この間メイドさん達にマリカトーナメントさせてたな”
”優勝者はミカド嬢になでなでして貰えるとかホント良き配信だったわ”
”アレみて思いついたのか。そうか”
「おーっほっほっほ! そんなわけで私が一方的にコクヨウをフルボッコする配信となりそうですわね! あ、万一私に勝てたのならコクヨウの言うことをなんでも一つ聞いてあげますわぁ~?」
「言いましたね? カロナイトの皆様が証人ですよ、お嬢様?」
ニヤリ、と不敵に笑うコクヨウ。
”おっ、これはフラグだな?”
”……ねぇお嬢、このゲームどういう基準で選んだの?”
「ん? フラグだなんて。ああ、このゲームは何かいい対戦ゲームがないかってコクヨウに選んでもらったのですわ」
”あっ”
”あーあ”
”そうかそうか。君はそういうやつなのかコクヨウちゃん……!”
「な、なんですの? え?」
「お嬢様。ご存じですか? ゲームの学習データは最初はないです。ええ、最初は。……しかし、お嬢様がお出かけの際に暇を持て余してゲームで遊んでいるメイドであれば? そして、この日のためにテクニック解説動画を見ながら完璧にお嬢様と遊べるように仕上げてきた、その可能性をお嬢様は見落とされましたね!!」
「え? え??」
”まさか日常でBCDつけっぱなのか”
”あーあ”
”あーあ”
”あーあ”
”やっちまったなお嬢……学習データがないってことは、学習すれば学習できるってことなんだぜ”
「わたしのスーパー爆弾マン3のプレイ時間は、既に200時間を超えます!!」
「なん、ですとぉー!?」
「フフフ、お嬢様の吐いた唾液、私が飲ませていただきますね?」
”※『吐いた唾飲むなよ』:前言撤回するんじゃないぞの意。”
”任侠映画とかで見る表現だが、言い方がコクヨウしてるわ”
”気持ち悪くて最高ですコクヨウさん!”
”お嬢の唾液が飲めると聞い[コメントは削除されました]”
「うふふ、お嬢様からのご褒美、何がいいかしら」
「……ま、負けませんわよーーーーー!?」
そして、カロナは惜しくも負けた。(※)
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(※コクヨウは、あと少しで勝てそうというレベルに巧みに調整しつつも安全マージンをしっかりとってでもカロナにはバレない程度に余裕の勝利を決めた)
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