ダンジョンの真化
『警告! 警告! ダンジョンの
警告の赤い文字と機械音声がカロナとヤマト達の周りに表示された。
驚いたカロナは、「ひょえっ!」と驚きながら、警告に従ってログアウトを中止する。
「え!? え!? ちょ、な、何か出たんですけども!?」
「マジか……カロナ嬢。トイレは少し我慢してくれ」
「……ま、まぁ早めに行っておこうかとしただけなので、大丈夫ですけれど? それよりもなんですのこれ!?」
カロナが動揺する中、コメントが流れていく。
《ダンジョンブレイバー:コメント》
[ミコト]:”ゴメンなさいゴメンなさい! まさかダンジョンが
”え!? ちょ、なにこれ!?”
”おいおいマジか。ガチきちゃった?”
”【2000¥】ダンジョン化だ。ライブでは初めて見た! これ使って!”
”【10000¥】おっ。『本番』ってワケ? ヤマト、お前ならいける!”
《竜胆寺カロナちゃんねる:コメント》
[コクヨウ]:”お嬢様、大変です。ダンジョンが『本物』になりました。帰還するには開始地点に戻るか、ダンジョンを攻略するしかありません!”
”
”え、え、なになに? 初見です”
”【1000¥】危なかったら逃げるんだぞぉおおおおッ!!”
ダンジョンが『本物』になった。コクヨウのそのコメントを見て、カロナはようやく自分の『仕事』がどういうものか、を思い出す。
ダンジョンを攻略し、破壊する『デブリ』の掃除屋。
現実にダンジョンが浸食する『ダンジョン災害』を防ぐ事こそ、BCDプレイヤーの本来の姿なのだ。
「……本物のダンジョンって、ここがそうだよって告知が出てそこにみんなで攻略しに行く感じじゃないんですの!?」
「天然で生まれたり
「もちろんだぜリーダー。俺達も突発は初めてだが運が良かったな。比較的初心者なダンジョンでさ」
「ホントよ。もし背伸びして向かったダンジョンだったら実力者にお任せして逃げてるところだけど」
と、余裕を持ってスライムを打ち続けているダンジョンブレイバーの面々。
慌てていたカロナだったが、その落ち着いた行動にお嬢様ロールを崩すことなくぐっと踏みとどまる。
なんとも、自分以外はこの現象について詳しく知っている模様。
というか、常識をカロナが知らない模様。
「こ、コクヨウ! 視聴者様方のためにも詳しく解説なさい、
[コクヨウ]:”はいお嬢様! 解説いたしますと、近年はダンジョンマスターが作成したダンジョン――疑似ダンジョンがデブリの影響を受け本物のダンジョンになる、という事例が多いんです。これを『
偽ダンジョンが真のダンジョンになる。故に真化。
そうだったのか、とカロナは表情に出さずに納得した。
《竜胆寺カロナちゃんねる:コメント》
[コクヨウ]:”天然で突然ダンジョンがいきなり生まれることもありますが、こちらは『発生』として区別されますね”
”コクヨウさんお疲れっす”
”え、お嬢。ご存じなかったんですか? 常識ですよ?”
”【1000¥】まぁカロナ嬢ソロばっかだったもんなー。がんばれー”
”【300¥】ちゃんと情報収集しないとダメだぞ。ダンジョン災害対策なんだし”
”【1000¥】おもらしした場合のクリーニング代置いときますね”
「も、もちろん知っていましたし!? 私、お嬢様ですもの! おーっほっほっほげほげふっ! ってかおもらししませんわよ! なんですのもう!!」
「ま、ダンジョンが
ダンジョン災害、つまり『本物のダンジョン』になりそうなデブリは、最初からダンジョンの形をしているBCD製『偽ダンジョン』に誘因される。これもまた、BCDのダンジョン対策戦略であり、このために日本各地にダンジョン用サーバーが分散して設置されている。
デブリが溜まっている場所から距離や性質の近い『偽ダンジョン』が
しかし現在確認されている
ダンジョンは人の集まるところに発生する――と、そういう事なのだろう。ソロダンジョンよりもマルチダンジョンの方がデブリが溜まりやすいのは明確だった。
《竜胆寺カロナちゃんねる:コメント》
[コクヨウ]:”尚、報酬が跳ね上がります。むしろ稼ぎ時ですよ!”
最初はビックリしたが、稼ぎ時、という単語にカロナは目を引かれた。
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(全く関係ないですが、魔法少女にあこがれちゃうあのお話、とても面白いですわよねぇ! コミックも追ってますわよーーーーーーーーー!!)
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