『スライムの滝』ボススライム
ザアザアとした水音を目指して進めば、赤くてどでかいボススラムが、滝で水浴びしていた。
《竜胆寺カロナちゃんねる:コメント》
[コクヨウ]:”お嬢様。こちら、レッドヒュージスライムですね。弱点は雷属性ですが、滝に陣取っていますので巻き添えダメージにご注意ください。それと、物理攻撃は通りにくいです”
《ダンジョンブレイバー:コメント》
[ミコト]:”申し訳ありません! ギルドの資料からボスが物理・打撃系に強いことが分かりました。ダンジョンブレイバーの皆さまとは相性が悪いので、無理せず撤退してください!”
それぞれのAI秘書からコメント経由でアドバイスが送られてくる。
「……うん、確かにこれは、半端な飛び攻撃は飲み込まれて終わり、ですわね」
「だろ? スライムゴルフの練習にはちょうど良いダンジョンだったけど、ボスはこれだろうなって思ってたんだ」
ダンジョンブレイバーのヤマトとしては、経験からそう感じていたのだろう。
というか、普通に考えてスライム達ばっかりのダンジョンなんだから、ボスもスライムで、それもボスだから巨大なスライムなのは想像に難くない。
「ここは普通に戦う方が良いわよね、リーダー?」
「
「ああ。ユウタ、サクラ。行くぞ!」
ダンジョンブレイバーの面々は、武器を構える。
そこに、ヒュージスライムが「ひゅんっ!」と何かを飛ばしてきた。
スッとごく自然に割り込むカロナ。そして、その「何か」をミスリル日傘でばちこんと打ち返す。
「ふむ。小さなスライム、ですわね。子供……いや、分裂かしら?」
「へぇ、それは……バッティングセンターってことか?」
ニヤリと笑うヤマト。剣を、野球のバットのように持ちかえる。
「あ、そうそう。このように、スライムゴルフは敵の攻撃も打ち返したりできますわよ。理論上は魔法も打ち返せますわ」
「……魔法も打てるものなのか?」
《竜胆寺カロナちゃんねる:コメント》
”そんな大事そうな奥義をボス戦開始直後にサラッと言う???”
”お嬢、魔法打ち返せるの?”
”それは配信で見たことないんだけど……? いけんの?”
「う。これはあくまで理論上ですわ。適した武器を使えばって感じですわね。……でもそもそも盾で魔法を受け止めることができるなら、それは物理現象みたいなもんですわよ? 打ち返せないこともないはずですわ!」
「確かに。言われてみれば打てそうな気がしてきた」
《ダンジョンブレイバー:コメント》
”ヤマト。いい具合に騙されてないか?”
”理論上って言ってるぞ。出来たらすごい便利だけど”
”確かに盾で受けたりするんだから、いける……? いけるのか?”
”いやそれこそ理論上だから”
「この配信を見た上級者の方は、是非試してみてほしいですわね!! まぁ成功の保証は一切できませんけど」
「水弾をひしゃく使って受け止めて投げ返す、みたいな話だが、確かに不可能ではない、かな?」
「お。ヤマト様良いセンスしてますわね。そんな感じですわ!」
言われてみれば、上級者ならできるかもしれない、ってのはある。そんな空気がコメントに広がった。
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