閑話:ペコシのドリンク実飲


[秋猫]:”ペコシのドリンク、欲しいものリストに載ってたから送ったよ”


「あら! ありがとうございますわ!」




 ということがあり、カロナの中の人、篠原しのはら沙夜さやの下にペコシのドリンクが届いた。ペットボトルの8本セットだ。


「……とはいうもののこれ、『グレープみたらし団子味』って……」


 炭酸。みたらし団子。グレープ。せめてみたらし団子が無ければ普通の炭酸グレープだったものを、みたらし団子が混じってしまったのである。

 目新しさだけを求めた極地。混ぜるな危険。


「なぜ混ぜてしまったのか……みたらし団子ドリンクでいいじゃん? 種類の違う甘さだと思うんだけど」


 はたしてこれが美味しいのかどうかと言えば、まぁ、美味しくないんじゃないかなぁって気しかしない。

 色も、ペコシコーラの茶色にほんのりグレープな紫が入っている気がして微妙な色をしている。


「色はホントに強酸性バブリッシュスライムに似てるわね……だからこそ、なんだろうけど」


 B-Casterをしていて初めて貰った差し入れだ。大事にしっかり飲みたい所存。

 ……

 ……1本くらいは、実際食レポせざるを得ないよね?



 幸か不幸か、沙耶の持つヘッドセットにはスキャン機能が付いていて、先日寿司配信をした実績もあった。


 * * *


「こんかろなー。というわけで、今日はダンジョン行く前に差し入れていただいたペコシのドリンクを飲んでみますわー! 秋猫さん、差し入れありがとうございましてよ!」


[秋猫]:”お! ちゃんと届いてよかった!”

[じょあ坊]:”差し入れ……そういうのもあるのか”

[俺氏0436]:”今度何か送ろうかな。食料系で”


「あ、あんまり変なものを送られても食べきれなかったりしますからね!? さてさて。それではこちらがそのドリンクですわ」


 スキャン機能で取り込んだ『ペコシコーラ(グレープみたらし団子味)』をテーブルに置く。


「リアルで見ても、色はホントに強酸性バブリッシュスライムそっくりでしたわね。うん……では早速いただきますわ!」


 ペットボトルの蓋を開け、その香りをかぐ。直接嗅がずに手で仰いで鼻に香りを届けて確認する。……甘いブドウの香り。それに交じって、ねっとりとした蜜の気配。


「……まぁ、これはこれでアリなニオイですわね?」


”理科の実験みたいな嗅ぎ方w”

”劇物のニオイ確認方法w お上品だな!”

”まぁ甘い匂いだってのは分かった”


「いざっ……ん、んくっ……んぐぅ!?」


 みたらしの味が炭酸でチクチクと喉に刺さる。後味はグレープ。思わず吹き出しそうになった。


「……これはその、炭酸がなければ、多少は……」


”精一杯の誉め言葉”

”不味いなら不味いって言ってもええんやで”

”いい色のスライムを見つけて味をあとから考えた説ある”


「い、いや、本当に味はその、悪くはないんですのよ? みたらしもブドウも好きですから。……みたらし団子とブドウを一緒に食べた味、みたいな? いちご大福ってあるでしょう? あのイメージ?」


”あ、なるほど。味は悪くなさそう”

”炭酸がな……”

”マジで炭酸さえなけりゃな……”


「ごほっ。で、では、今日もダンジョンに潜っていきますわねー」


 かくして、カロナはすこしフラつきつつダンジョンへ潜っていった。



―――――――――――――――――――

(秋猫さん、コテハン許可ありがとうですわー)

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