AI執事、セバスチャン


 秘書AIを2体分認証を行ったアクティベート。これでAI秘書を呼び出すことができる。


「さて、まずは設定が固まってるセバスチャンの方からですわね」


 キャラクリエイトウィンドウが出てくる。まずはプロフィールの方からだ。

 タイプ執事を選ぶカロナだが、メイドの他にもタイプがあることに気が付いた。


「タイプ:軍師とかもあるのですわねぇ。執事とメイドしか見えてませんでしたわ」


”孔明かな?”

”『お待ちください閣下、今は静観すべきです』とか言いそう”

”ダンジョン攻略のサポート凄くしてくれそう”


「ま、執事とメイドで決定ですけどもね! あ、設定を書けばAIの方で判断して性格を補完してくれたりするのですね? ほほう」


 ともあれ、執事については元傭兵の老執事で、子供のころに云々、という設定をそのまま『設定』の欄に書き込んでいく。


「……という感じッ! よしッ!」


 決定ボタンを押すと、『生成中……』とウィンドウが表示され、しばらくするとポリゴンがカタカタと集まり扉が作られる。

 そして、そこから一人の老執事が現れた。元傭兵なだけあって、結構ガッシリとした体つき、オールバックの白髪。片眼鏡モノクルに、ふさっとしたヒゲを生やしている。


「おお……! せ、セバス、セバスでよろしいのかしら?」


 恐る恐る話しかけるカロナに、老執事――セバスはニコッと微笑んだ。


「ええお嬢様。セバスはここにございます。今後もよろしくお仕えさせてください」

「ーーッ!」


 なかなかの渋いイケボであり、カロナはビリリと体を震わせた。


「え、ええっ! もちろん! もちろんですわぁー!」

「お嬢様、顔がだらしないですぞ?」

「こっ、これはそのっ! せ、セバスがわ、私のっ、私に仕えてくれるのが嬉しくてついついですわっ! 許容なさい!」

「ほっほっほ、そういうことであれば。執事冥利に尽きるというものですな」


”お嬢、めっちゃにやけ面で草”

”カロナ嬢……わかる。俺もメイドさんがやってきたらこうなる自信ある”


 カロナは深呼吸した。だが今日一日くらいはどうしようもなくにやけてしまうだろう。なにせ、憧れの執事が、自分に仕えているのだから……!


「お嬢様。紅茶をお入れしましょうか?」

「……え、ええ! 入れてきて頂戴! それと、クッキーも欲しいですわね。持ってきて頂戴」

「かしこまりました」


 セバスはスッと紅茶セットを持ってきた。アンティークなポットから紅茶を注ぎ、カロナの前にそっと置く。併せてクッキーも綺麗に並べて置かれていた。


”おお……紅茶も入れてくれるのか、AI執事”

”いいなぁ。おなかタプタプになるまで飲みまくりそう”

”BCD内であれば食べ放題飲み放題だから、好きなだけ飲んでいいぞ……!”


「……ふふっ、ありがとうセバス。……少し耳をふさいでいてくださる?」

「はっ。では30秒ほど塞いでおきますね、お嬢様」


 紅茶をくいっと一口飲むカロナ。そして――


「ぁああああああああああああ!!!!!! すごいすごいすごぉぉぉい!! これこれこれ! これですわ! 執事っ! 執事ですわぁあああ!! 憧れのセバスがっ! 私のっ! 私の! 私に仕えてっ! 紅茶ぁああああああ! 紅茶が美味しいぃいいい!! いつも飲んでるのと同じBCDのデフォルト紅茶セットとおなじ味のハズなのに、セバスが淹れてくれたってだけで20割増しですわぁああああ!!! クッキーもうまぁあああ!! やっべ、BCD神ゲーすぎますわぁ!!!」


”あっ、お嬢が壊れた”

”だから、セバスに耳を塞いでもらう必要があったんですね”

”あかん、これ現実世界に戻りたくなくなるやつ”


 

 尚、30秒を過ぎていたが、セバスはまだ耳を塞いでくれていた。



――――――――――――――――――――

(思ってたより執事シーンが長くなっちゃったので、AIメイドさん生成は次回ですわーー!! 皆様のコメント、使わせてもらいますわよっ!)

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