芯を曲げないアウトローはカッコいい。

重厚さはしっかりあるが、読んでいて疲労感はでてこない、そして読了感も爽快、という絶妙なバランスで作り上げられた、現代バイオレンスアクションです。

※※以下、二章終了時点でのレビュー投稿です※※
鍛えられた戦闘技術と裏社会での経験を持った男が、若い頃から人生やり直して胸糞事件を壊していく物語で、章ごとに起承転結がはっきりしており、アウトロー気味だが悪ではない主人公がクソ共をぶちのめしていく気持ちよさを楽しめます。

まずはキャラクター。前述しましたが、主人公のイメージは太い芯の通ったアウトロー。これがもうただカッコいい。他責思考をせず、愚痴も卑屈さもゼロで不快感が出ない。現代でモヤモヤされないタイプと言いますか、よく考えるしやられたらやり返すし、読者側があまり心配せずに、バックボーンのある自信を持った主人公の姿を期待し続けられる。

また主人公以外の登場キャラクターは深堀りしすぎず、でも少なめの描写だけでどんな人間なのかが描けており、一人称小説の邪魔にならない。タイトル通りに、主役になろうと決めた主人公の活躍が読みたいんだよ!という人もこれにはニッコリでしょう。その上で、日常的なシーンや、アクション合間のちょっとしたシーンで主人公以外のキャラクターが笑わせてくれたり「こいつ良い奴やん」「こいつ根性座ってんな」なんて思ったりできるし、シナリオに絡んだ場合は話がちゃんと面白くなってる。この、主人公とその他キャラの出番のバランスは丁度良いなぁ、と。

次に、血湧き肉躍る、の言葉通りな戦闘シーンは特に素晴らしかった。
戦闘中の長台詞が無く、脳内で映像化しやすい描写(伝わりやすい単語・動作表現)のためスピード感が抜群。且つ、戦闘開始前の煽り合いや、アクションとアクションの合間、動き終えて不自然にならない場面で相手との会話が入ったりするので、描写一辺倒で疲れてしまう文章になっていない。このあたりがとても上手で読みやすいなと感じました。

また詳細に描くと一部嫌悪感の出るような部分は省略されているので、グロテスクにはならない。シナリオも読者層を配慮されてか、エグ味がキツすぎない。主人公の心理描写は必要な時にだけしっかり描かれ、アクションシーンでは邪魔しない。と、そういった作りが、ハードだがカクヨム読者が楽しめる範疇の内容になっている要因かと。

以上、一話から現時点最新の二章終了まで一気に読んで、その面白さに熱量のままこんな長文を書いてしまいましたが、誰かがこの作品を読む切欠になれば幸いです。