名案
ある日、私の中に名案が生まれました。
嗚呼、さうだ。
勇者が生まれたというのなら、力をつける前に消してしまえばいいのだ。
やはり私は天才でした。
やられる前にやり返す。そうすればやられることは決してない。
まるでコロンブスの卵です。にわかに未来が開けたような気がして、私は晴れやかな気持ちになりました。
私は取り急ぎ、セイクレッドハイム付近にいる配下たちに連絡を取りました。連絡は水晶を通じて行います。
電波が悪いのか、なかなか中継が繋がらず苛々しました。
思わず水晶を破壊してやろうかと思ったところで、手下のオーガが映り込みました。
オーガの好物は人間です。とりわけ、子供の肉を好んで食べるそうです。
この種族ほど勇者の討伐に向いている魔物はいません。ですので、私は彼らに勇者の生まれたとされる村を襲うよう指示をしました。
私だって生きていかねばなりません。
生きるために自身の脅威となる存在を消そうとするのはごく自然ななりゆきかです。だから迷いはありませんでした。
さあ、勇者たちを喰い殺してきなさい。
そう伝えると、彼らは背を向けて消えていきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます